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怖い話を集めるブログ

怖い、不思議、謎な話をネット上から拾ってきます。

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姦姦蛇螺

小中学の頃は田舎もんで世間知らずで、特に仲の良かったA、Bと三人で
毎日バカやって荒れた生活してたんだわ。

オレとAは家族にもまるっきり見放されてたんだが、Bはお母さんだけは必ず構ってくれてた。
あくまで厳しい態度でだけど、何だかんだ言ってBのためにいろいろと動いてくれてた。

そのB母子が中三のある時、かなりキツい喧嘩になった。
内容は言わなかったが、精神的にお母さんを痛め付けたらしい。
お母さんをズタボロに傷つけてたら、親父が帰ってきた。
一目で状況を察した親父はBを無視して黙ったまんまお母さんに近づいていった。

服とか髪とかボロボロなうえに、死んだ魚みたいな目で床を
茫然と見つめてるお母さんを見て、親父はBに話した。

10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/02(月) 18:27:45.36 ID:6OgYSiQM0
B父「お前、ここまで人を踏み躙れるような人間になっちまったんだな。
   母さんがどれだけお前を想ってるか、なんでわからないんだ。」

親父はBを見ず、お母さんを抱き締めながら話してたそうだ。

B「うるせえよ。てめえは殺してやろうか?あ?」
Bは全く話を聞く気がなかった。

だが親父は何ら反応する様子もなく、淡々と話を続けたらしい。
B父「お前、自分には怖いものなんか何もないと、そう思ってるのか。」

12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/02(月) 18:29:48.56 ID:6OgYSiQM0
B「ねえな。あるなら見せてもらいてえもんだぜ。」
親父は少し黙った後、話した。

B父「お前はオレの息子だ。母さんがお前をどれだけ心配してるかもよくわかってる。だがな、
   お前が母さんに対してこうやって踏み躙る事しか出来ないなら、オレにも考えがある。
   これは父としてでなく、一人の人間、他人として話す。先にはっきり言っておくがオレが
   これを話すのは、お前が死んでも構わんと覚悟した証拠だ。それでいいなら聞け。」

その言葉に何か凄まじい気迫みたいなものを感じたらしいが、いいから話してみろ!と煽った。

14:晩ご飯食べてきます:2011/05/02(月) 18:31:53.14 ID:6OgYSiQM0
B父「森の中で立入禁止になってる場所知ってるよな。あそこに入って奥へ進んでみろ。
   後は行けばわかる。そこで今みたいに暴れてみろよ。出来るもんならな。」

親父が言う森ってのは、オレ達が住んでるとこに小規模の山があって、そのふもとにある場所。
樹海みたいなもんかな。山自体は普通に入れるし、森全体も普通なんだが、
中に入ってくと途中で立入禁止になってる区域がある。

言ってみれば四角の中に小さい円を書いて、その円の中は入るなってのと同じできわめて部分的。

二メートル近い高さの柵で囲まれ、柵には太い綱と有刺鉄線、柵全体にはが連なった
白い紙がからまってて(独自の紙垂みたいな)、大小いろんな鈴が無数についてる。
変に部分的なせいで柵自体の並びも歪だし、とにかく尋常じゃないの一言に尽きる。

28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/02(月) 18:54:50.63 ID:Miqo0XRx0
あと、特定の日に巫女さんが入り口に数人集まってるのを見かけるんだが、
その日は付近一帯が立入禁止になるため何してんのかは謎だった。

いろんな噂が飛び交ってたが、カルト教団の洗脳施設がある…ってのが一番広まってた噂。
そもそもその地点まで行くのが面倒だから、その奥まで行ったって話はほとんどなかったな。

親父はBの返事を待たずにお母さんを連れて2階に上がってった。
Bはそのまま家を出て、待ち合わせてたオレとAと合流。そこでオレ達も話を聞いた。

A「父親がそこまで言うなんて相当だな。」

オレ「噂じゃカルト教団のアジトだっけ。捕まって洗脳されちまえって事かね。
   怖いっちゃ怖いが…どうすんだ?行くのか?」

B「行くに決まってんだろ。どうせ親父のハッタリだ。」

面白半分でオレとAもついていき、三人でそこへ向かう事になった。
あれこれ道具を用意して、時間は夜中の一時過ぎぐらいだったかな。


意気揚揚と現場に到着し、持ってきた懐中電灯で前を照らしながら森へ入っていった。
軽装でも進んで行けるような道だし、オレ達はいつも地下足袋だったんで歩きやすかったが、
問題の地点へは四十分近くは歩かないといけない。

ところが、入って五分もしないうちにおかしな事になった。

オレ達が入って歩きだしたのとほぼ同じタイミングで、何か音が遠くから聞こえ始めた。
夜の静けさがやたらとその音を強調させる。最初に気付いたのはBだった。

B「おい、何か聞こえねぇか?」

Bの言葉で耳をすませてみると、確かに聞こえた。落ち葉を引きずるカサカサ…という音と、
枝がパキッ…パキッ…と折れる音。それが遠くの方から微かに聞こえてきている。

遠くから微かに…というせいもあって、さほど恐怖は感じなかった。
人って考える前に動物ぐらいいるだろ、そんな思いもあり構わず進んでいった。

動物だと考えてから気にしなくなったが、そのまま二十分ぐらい進んできたところで
またBが何か気付き、オレとAの足を止めた。

29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/02(月) 18:56:01.56 ID:Miqo0XRx0
B「A、お前だけちょっと歩いてみてくれ。」

A「?…何でだよ。」

B「いいから早く」

Aが不思議そうに一人で前へ歩いていき、またこっちへ戻ってくる。
それを見て、Bは考え込むような表情になった。

A「おい、何なんだよ?」

オレ「説明しろ!」
オレ達がそう言うと

Bは「静かにしてよ?く聞いててみ」と、Aにさせたように一人で前へ歩いていき、
またこっちに戻ってきた。二、三度繰り返してようやくオレ達も気付いた。

遠くから微かに聞こえてきている音は、オレ達の動きに合わせていた。
オレ達が歩きだせばその音も歩きだし、オレ達が立ち止まると音も止まる。
まるでこっちの様子がわかっているようだった。

何かひんやりした空気を感じずにはいられなかった。
周囲にオレ達が持つ以外の光はない。月は出てるが、木々に遮られほとんど意味はなかった。
懐中電灯つけてんだから、こっちの位置がわかるのは不思議じゃない…
だが一緒に歩いてるオレ達でさえ、互いの姿を確認するのに目を凝らさなきゃいけない暗さだ。

そんな暗闇で光もなしに何してる?
なぜオレ達と同じように動いてんだ?

B「ふざけんなよ。誰かオレ達を尾けてやがんのか?」

A「近づかれてる気配はないよな。向こうはさっきからずっと同じぐらいの位置だし。」

Aが言うように森に入ってからここまでの二十分ほど、オレ達とその音との
距離は一向に変わってなかった。近づいてくるわけでも遠ざかるわけでもない。
終始、同じ距離を保ったままだった。

オレ「監視されてんのかな?」

A「そんな感じだよな…カルト教団とかなら何か変な装置とか持ってそうだしよ。」

30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/02(月) 18:57:10.12 ID:Miqo0XRx0
音から察すると、複数ではなく一人がずっとオレ達にくっついてるような感じだった。
しばらく足を止めて考え、下手に正体を探ろうとするのは危険と判断し、
一応あたりを警戒しつつそのまま先へ進む事にした。

それからずっと音に付きまとわれながら進んでたが、やっと柵が見えてくると、
音なんかどうでもよくなった。
音以上にその柵の様子の方が意味不明だったからだ。

三人とも見るのは初めてだったんだが、想像以上のものだった。
同時にそれまでなかったある考えが頭に過ってしまった。

普段は霊などバカにしてるオレ達から見ても、その先にあるのが
現実的なものでない事を示唆しているとしか思えない。
それも半端じゃなくやばいものが。

まさか、そういう意味でいわくつきの場所なのか…?
森へ入ってから初めて、今オレ達はやばい場所にいるんじゃないかと思い始めた。

A「おい、これぶち破って奥行けってのか?誰が見ても普通じゃねえだろこれ!」

B「うるせえな、こんなんでビビってんじゃねえよ!」

柵の異常な様子に怯んでいたオレとAを怒鳴り、Bは持ってきた道具あれこれで柵をぶち壊し始めた。
破壊音よりも、鳴り響く無数の鈴の音が凄かった。

しかしここまでとは想像してなかったため、持参した道具じゃ貧弱すぎた。

というか、不自然なほどに頑丈だったんだ。
特殊な素材でも使ってんのかってぐらい、びくともしなかった。
結局よじのぼるしかなかったんだが、綱のおかげで上るのはわりと簡単だった。

だが柵を越えた途端、激しい違和感を覚えた。
閉塞感と言うのかな、檻に閉じ込められたような息苦しさを感じた。
AとBも同じだったみたいで踏み出すのを躊躇したんだが、
柵を越えてしまったからにはもう行くしかなかった。

先へ進むべく歩きだしてすぐ、三人とも気付いた。
ずっと付きまとってた音が、柵を越えてからバッタリ聞こえなくなった事に。
正直そんなんもうどうでもいいとさえ思えるほど嫌な空気だったが、
Aが放った言葉でさらに嫌な空気が増した。

A「もしかしてさぁ、そいつ…ずっとここにいたんじゃねえか?この柵、こっから見える分だけでも
  出入口みたいなのはないしさ、それで近付けなかったんじゃ…」

B「んなわけねえだろ。オレ達が音の動きに気付いた場所ですらこっからじゃもう見えねえんだぞ?
  それなのに入った時点からオレ達の様子がわかるわけねえだろ。」

32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/02(月) 18:58:45.93 ID:Miqo0XRx0
普通に考えればBの言葉が正しかった。
禁止区域と森の入り口はかなり離れてる。時間にして四十分ほどと書いたが、
オレ達だってちんたら歩いてたわけじゃないし、距離にしたらそれなりの数字にはなる。

だが、現実のものじゃないかも…という考えが過ってしまった事で、
Aの言葉を頭では否定できなかった。
柵を見てから絶対やばいと感じ始めていたオレとAを尻目に、Bだけが俄然強気だった。

B「霊だか何だか知らねえけどよ、お前の言うとおりだとしたら、
  そいつはこの柵から出られねえって事だろ?そんなやつ大したことねえよ。」

そう言って奧へ進んでいった。

柵を越えてから二、三十分歩き、うっすらと反対側の柵が見え始めたところで、
不思議なものを見つけた。

特定の六本の木に注連縄(しめなわ)が張られ、その六本の木を
六本の縄で括り、六角形の空間がつくられていた。
柵にかかってるのとは別の、正式なものっぽい紙垂もかけられてた。
そして、その中央に賽銭箱みたいなのがポツンと置いてあった。

目にした瞬間は、三人とも言葉が出なかった。
特にオレとAは、マジでやばい事になってきたと焦ってさえいた。

バカなオレ達でも、注連縄が通常どんな場で何のために用いられてるものか、何となくは知ってる。
そういう意味でも、ここを立入禁止にしているのは間違いなく目の前のこの光景のためだ。
オレ達はとうとう、来るとこまで来てしまったわけだ。

オレ「お前の親父が言ってたの、たぶんこれの事だろ。」

A「暴れるとか無理。明らかにやばいだろ。」

だが、Bは強気な姿勢を崩さなかった。
B「別に悪いもんとは限らねえだろ。とりあえずあの箱見て見ようぜ!宝でも入ってっかもな。」

Bは縄をくぐって六角形の中に入り、箱に近づいてった。
オレとAは箱よりもBが何をしでかすかが不安だったが、とりあえずBに続いた。

野晒しで雨とかにやられたせいか、箱はサビだらけだった。
上部は蓋になってて、網目で中が見える。だが、蓋の下にまた板が敷かれていて結局見れない。

33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/02(月) 18:59:28.25 ID:Miqo0XRx0
さらに箱にはチョークか何かで凄いのが書いてあった。

たぶん家紋?的な意味合いのものだと思うんだが、前後左右それぞれの面に
いくつも紋所みたいなのが書き込まれてて、しかも全部違うやつ。
ダブってるのは一個もなかった。

オレとAは極力触らないようにし、構わず触るBにも乱暴にはしないよう
注意させながら箱を調べてみた。

どうやら地面に底を直接固定してあるらしく、大して重さは感じないのに持ち上がらなかった。
中身をどうやって見るのかと隅々までチェックすると、
後ろの面だけ外れるようになってるのに気付いた。

B「おっ、ここだけ外れるぞ!中見れるぜ!」
Bが箱の一面を取り外し、オレとAもBの後ろから中を覗き込んだ。

箱の中には四隅にペットボトルのような形の壺?が置かれてて、その中には何か液体が入ってた。
箱の中央に、先端が赤く塗られた五センチぐらいの楊枝みたいなのが、変な形で置かれてた。

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こんな形で六本。接する四ヶ所だけ赤く塗られてる。

オレ「なんだこれ?爪楊枝か?」

A「おい、ペットボトルみてえなの中に何か入ってるぜ。気持ちわりいな。」

B「ここまで来てペットボトルと爪楊枝かよ。意味わかんねえ。」

オレとAはぺットボトルみたいな壺を少し触ってみたぐらいだったが、
Bは手に取って匂いを嗅いだりした。
元に戻すと今度は/\/\>を触ろうと手を伸ばす。
ところが、汗をかいていたのか指先に一瞬くっつき、そのせいで離すときに形がずれてしまった。

34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/02(月) 19:00:29.10 ID:Miqo0XRx0
その一瞬
チリンチリリン!!チリンチリン!!

オレ達が来た方とは反対、六角形地点のさらに奧にうっすらと見えている柵の方から、
物凄い勢いで鈴の音が鳴った。さすがに三人ともうわっと声を上げてビビり、一斉に顔を見合わせた。

B「誰だちくしょう!ふざけんなよ!」
Bはその方向へ走りだした。

オレ「バカ、そっち行くな!」

A「おいB!やばいって!」

慌てて後を追おうと身構えると、Bは突然立ち止まり、前方に懐中電灯を向けたまま動かなくなった。

「何だよ、フリかよ?」とオレとAがホッとして急いで近付いてくと、Bの体が小刻みに震えだした。
「お、おい、どうした…?」言いながら無意識に照らされた先を見た。

35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/02(月) 19:01:13.54 ID:Miqo0XRx0
Bの懐中電灯は、立ち並ぶ木々の中の一本、その根元のあたりを照らしていた。
その陰から、女の顔がこちらを覗いていた。
ひょこっと顔半分だけ出して、眩しがる様子もなくオレ達を眺めていた。
上下の歯をむき出しにするようにい?っと口を開け、目は据わっていた。

「うわぁぁぁぁぁ!!」

誰のものかわからない悲鳴と同時に、オレ達は一斉に振り返り走った。
頭は真っ白で、体が勝手に最善の行動をとったような感じだった。
互いを見合わす余裕もなく、それぞれが必死で柵へ向かった。

柵が見えると一気に飛び掛かり、急いでよじのぼる。
上まで来たらまた一気に飛び降り、すぐに入り口へ戻ろうとした。

だが、混乱しているのかAが上手く柵を上れずなかなかこっちに来ない。

オレ「A!早く!!」

B「おい!早くしろ!!」
Aを待ちながらオレとBはどうすりゃいいかわからなかった。

オレ「何だよあれ!?何なんだよ!?」

B「知らねえよ黙れ!!」
完全にパニック状態だった。


37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/02(月) 19:01:54.97 ID:Miqo0XRx0
その時
チリリン!!チリンチリン!!

凄まじい大音量で鈴の音が鳴り響き、柵が揺れだした。
何だ…!?どこからだ…!?オレとBはパニック状態になりながらも周囲を確認した。

入り口とは逆、山へ向かう方角から鳴り響き、近づいているのか
音と柵の揺れがどんどん激しくなってくる。

オレ「やばいやばい!」

B「まだかよ!早くしろ!!」

オレ達の言葉が余計にAを混乱させていたのはわかってたが、急かさないわけにはいかなかった。
Aは無我夢中に必死で柵をよじのぼった。

Aがようやく上りきろうかというその時、オレとBの視線はそこになかった。
がたがたと震え、体中から汗が噴き出し、声を出せなくなった。
それに気付いたAも、柵の上からオレ達が見ている方向を見た。

山への方角にずらっと続く柵を伝った先、しかもこっち側にあいつが張りついていた。
顔だけかと思ったそれは、裸で上半身のみ、右腕左腕が三本ずつあった。
それらで器用に綱と有刺鉄線を掴んでい?っと口を開けたまま、
巣を渡る蜘蛛のようにこちらへ向かってきていた。

とてつもない恐怖

「うわぁぁぁぁ!!」

Aがとっさに上から飛び降り、オレとBに倒れこんできた。
それではっとしたオレ達はすぐにAを起こし、一気に入り口へ走った。

後ろは見れない。前だけを見据え、ひたすら必死で走った。
全力で走れば三十分もかからないだろうに、何時間も走ったような気分だった。

38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/02(月) 19:02:36.75 ID:Miqo0XRx0
入り口が見えてくると、何やら人影も見えた。
おい、まさか…三人とも急停止し、息を呑んで人影を確認した。

誰だかわからないが何人かが集まってる。あいつじゃない。
そう確認できた途端に再び走りだし、その人達の中に飛び込んだ。

「おい!出てきたぞ!」

「まさか…本当にあの柵の先に行ってたのか!?」

「おーい!急いで奥さんに知らせろ!」

集まっていた人達はざわざわとした様子で、オレ達に駆け寄ってきた。
何て話しかけられたか、すぐにはわからないぐらい、三人とも頭が真っ白で放心状態だった。


そのままオレ達は車に乗せられ、すでに三時をまわっていたにも関わらず、
行事の時とかに使われる集会所に連れてかれた。

中に入ると、うちは母親と姉貴が、Aは親父、Bはお母さんが来ていた。
Bのお母さんはともかく、ろくに会話した事すらなかったうちの母親まで泣いてて、
Aもこの時の親父の表情は普段見た事ないようなもんだったらしい。

B母「みんな無事だったんだね…!よかった…!」

Bのお母さんとは違い、オレは母親に殴られAも親父に殴られた。
だが、今まで聞いた事ない暖かい言葉をかけられた。

しばらくそれぞれが家族と接したところで、Bのお母さんが話した。

B母「ごめんなさい。今回の事はうちの主人、ひいては私の責任です。
   本当に申し訳ありませんでした…!本当に…」と何度も頭を下げた。
よその家とはいえ、子供の前で親がそんな姿をさらしているのは、やっぱり嫌な気分だった。

A父「もういいだろう奥さん。こうしてみんな無事だったんだから。」

オレ母「そうよ。あなたのせいじゃない。」

この後ほとんど親同士で話が進められ、オレ達はぽかんとしてた。
時間が遅かったのもあって、無事を確認しあって終わり…って感じだった。
この時は何の説明もないまま解散したわ。

後編もありまする

42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/02(月) 19:04:58.90 ID:Miqo0XRx0
後編
一夜明けた次の日の昼頃、オレは姉貴に叩き起こされた。
目を覚ますと、昨夜の続きかというぐらい姉貴の表情が強ばっていた。

オレ「なんだよ?」
姉貴「Bのお母さんから電話。やばい事になってるよ。」
受話器を受け取り電話に出ると、凄い剣幕で叫んできた。

B母「Bが…Bがおかしいのよ!昨夜あそこで何したの!?
   柵の先へ行っただけじゃなかったの!?」

とても会話になるような雰囲気じゃなく、いったん電話を切ってオレはBの家へ向かった。
同じ電話を受けたらしくAも来ていて、二人でBのお母さんに話を聞いた。

話によると、Bは昨夜家に帰ってから急に両手両足が痛いと叫びだした。
痛くて動かせないという事なのか、両手両足をぴんと伸ばした状態で倒れ、
その体勢で痛い痛いとのたうちまわったらしい。

お母さんが何とか対応しようとするも、いてぇよぉと叫ぶばかりで意味がわからない。
必死で部屋までは運べたが、ずっとそれが続いてるので
オレ達はどうなのかと思い電話してきたという事だった。

話を聞いてすぐBの部屋へ向かうと、階段からでも叫んでいるのが聞こえた。
いてぇいてぇよぉ!と繰り返している。
部屋に入ると、やはり手足はぴんと伸びたまま、のたうちまわっていた。

オレ「おい!どうした!」
A「しっかりしろ!どうしたんだよ!」
オレ達が呼び掛けてもいてぇよぉと叫ぶだけで目線すら合わせない。

どうなってんだ…オレとAは何が何だかさっぱりわからなかった。
一度お母さんのとこに戻ると、さっきとはうってかわって静かな口調で聞かれた。

B母「あそこで何をしたのか話してちょうだい。それで全部わかるの。昨夜あそこで何をしたの?」

43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/02(月) 19:06:08.52 ID:Miqo0XRx0
何を聞きたがっているのかはもちろんわかってたが、答えるためにあれをまた
思い出さなきゃいけないのが苦痛となり、うまく伝えられなかった。

というか、あれを見たっていうのが大部分を占めてしまってたせいで、
何が原因かってのがすっかり置いてきぼりになってしまっていた。
何を見たかでなく何をしたかと尋ねるBのお母さんは、それを指摘しているようだった。

Bのお母さんに言われ、オレ達は何とか昨夜の事を思い出し、原因を探った。

何を見たか?なら、オレ達も今のBと同じ目にあってるはず。
だが何をしたか?でも、あれに対してほとんど同じ行動だったはずだ。
箱だってオレ達も触ったし、ペットボトルみたいなのも一応オレ達も触わってる。後は…楊枝…

二人とも気付いた。楊枝だ。あれにはBしか触ってないし、形もずらしちゃってる。
しかも元に戻してない。オレ達はそれをBのお母さんに伝えた。

すると、みるみる表情が変わり震えだした。そしてすぐさま棚の引き出しから何かの紙を取出し、
それを見ながらどこかに電話をかけた。
オレとAは様子を見守るしかなかった。

しばらくどこかと電話で話した後、戻ってきたBのお母さんは震える声でオレ達に言った。

B母「あちらに伺う形ならすぐにお会いしてくださるそうだから、今すぐ帰って用意しておいてちょうだい。
   あなた達のご両親には私から話しておくわ。何も言わなくても準備してくれると思うから。
   明後日またうちに来てちょうだい。」

意味不明だった。誰に会いにどこへ行くって?説明を求めてもはぐらかされ、すぐに帰らされた。
一応二人とも真っすぐ家に帰ってみると、何を聞かれるでもなく「必ず行ってきなさい」とだけ言われた。

46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/02(月) 19:06:57.62 ID:Miqo0XRx0
意味がまったくわからんまま、二日後にオレとAはBのお母さんと三人で、ある場所へ向かった。
Bは前日にすでに連れていかれたらしい。

ちょっと遠いのかな…ぐらいだと思ってたが、町どころか県さえ違う。
新幹線で数時間かけて、さらに駅から車で数時間。絵に書いたような深い山奥の村まで連れてかれた。

その村のまたさらに外れの方、ある屋敷にオレ達は案内された。
でかくて古いお屋敷で、離れや蔵なんかもあるすごい立派なもんだった。
Bのお母さんが呼び鈴を鳴らすと、おっさんと女の子がオレ達を出迎えた。

おっさんの方はその筋みたいなガラ悪い感じで、スーツ姿。
女の子はオレ達より少し年上ぐらいで、白装束に赤い袴、いわゆる巫女さんの姿だった。

挨拶では、どうやら巫女さんの伯父らしいおっさんは普通によくある名字を名乗ったんだが、
巫女さんは「あおいかんじょ」?(オレはこう聞こえた)とかいうよくわからない名を名乗ってた。

名乗ると言っても、一般的な認識とは全く違うものらしい。
よくわからんが、ようするに彼女の家の素性は一切知る事が出来ないって事みたい。
実際オレ達はその家や彼女達について何も知らないけど、
とりあえずここでは見やすいように葵って書くわ。

だだっ広い座敷に案内され、わけもわからんまま、ものものしい雰囲気で話が始まった。
伯父「息子さんは今安静にさせてますわ。この子らが一緒にいた子ですか?」

B母「はい。この三人であの場所へ行ったようなんです。」

伯父「そうですか。君ら、わしらに話してもらえるか?どこに行った、何をした、何を見た、
    出来るだけ詳しくな。」

47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/02(月) 19:08:46.19 ID:Miqo0XRx0
突然話を振られて戸惑ったが、オレとAは何とか詳しくその夜の出来事をおっさん達に話した。

ところが、楊枝のくだりで
「コラ、今何つった?」といきなりドスの効いた声で言われ、
オレ達はますます状況が飲み込めず混乱してしまった。

A「は、はい?」

伯父「おめぇら、まさかあれを動かしたんじゃねえだろうな!?」
身を乗り出し今にも掴み掛かってきそうな勢いで怒鳴られた。

すると葵がそれを制止し、蚊の泣くようなか細い声で話しだした。

葵「箱の中央…小さな棒のようなものが、ある形を表すように置かれていたはずです。
  それに触れましたか?触れた事によって、少しでも形を変えてしまいましたか?」

オレ「はぁあの、動かしてしまいました。形もずれちゃってたと思います。」

葵「形を変えてしまったのはどなたか、覚えてらっしゃいますか?触ったかどうかではありません。
  形を変えたかどうかです。」

オレとAは顔を見合わせ、Bだと告げた。

すると、おっさんは身を引いてため息をつき、Bのお母さんに言った。
伯父「お母さん、残念ですがね、息子さんはもうどうにもならんでしょう。わしは詳しく聞いてなかったが、
    あの症状なら他の原因も考えられる。まさかあれを動かしてたとは思わなかったんでね。」

「そんな…」
それ以上の言葉もあったんだろうが、Bのお母さんは言葉を飲み込んだような感じで、しばらく俯いてた。

口には出せなかったが、オレ達も同じ気持ちだった。
Bはもうどうにもならんってどういう意味だ?一体何の話をしてんだ?
そう問いたくても、声に出来なかった。

オレ達三人の様子を見て、おっさんはため息混じりに話しだした。
ここでようやく、オレ達が見たものに関する話がされた。

49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/02(月) 19:10:03.03 ID:Miqo0XRx0
俗称は「生離蛇螺」/「生離唾螺」
古くは「姦姦蛇螺」/「姦姦唾螺」
なりじゃら、なりだら、かんかんじゃら、かんかんだらなど、
知っている人の年代や家柄によって呼び方はいろいろあるらしい。

現在では一番多い呼び方は単に「だら」、おっさん達みたいな特殊な家柄では
「かんかんだら」の呼び方が使われるらしい。
もはや神話や伝説に近い話。

人を食らう大蛇に悩まされていたある村の村人達は、
神の子として様々な力を代々受け継いでいたある巫女の家に退治を依頼した。
依頼を受けたその家は、特に力の強かった一人の巫女を大蛇討伐に向かわせる。

村人達が陰から見守る中、巫女は大蛇を退治すべく懸命に立ち向かった。
しかし、わずかな隙をつかれ、大蛇に下半身を食われてしまった。
それでも巫女は村人達を守ろうと様々な術を使い、必死で立ち向かった。

ところが、下半身を失っては勝ち目がないと決め込んだ村人達はあろう事か、
巫女を生け贄にする代わりに村の安全を保障してほしいと大蛇に持ちかけた。

強い力を持つ巫女を疎ましく思っていた大蛇はそれを承諾、
食べやすいようにと村人達に腕を切り落とさせ、達磨状態の巫女を食らった。
そうして、村人達は一時の平穏を得た。

後になって、巫女の家の者が思案した計画だった事が明かされる。
この時の巫女の家族は六人。

異変はすぐに起きた。
大蛇がある日から姿を見せなくなり、襲うものがいなくなったはずの村で次々と人が死んでいった。
村の中で、山の中で、森の中で。
死んだ者達はみな、右腕・左腕のどちらかが無くなっていた。

50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/02(月) 19:10:43.48 ID:Miqo0XRx0
十八人が死亡。(巫女の家族六人を含む)
生き残ったのは四人だった。

おっさんと葵が交互に説明した。

伯父「これがいつからどこで伝わってたのかはわからんが、あの箱は一定の周期で
   場所を移して供養されてきた。その時々によって、管理者は違う。
   箱に家紋みたいのがあったろ?ありゃ今まで供養の場所を提供してきた家々だ。
   うちみたいな家柄のもんでそれを審査する集まりがあってな、そこで決められてる。
   まれに自ら志願してくるバカもいるがな。
   管理者以外にゃかんかんだらに関する話は一切知らされない。
   付近の住民には、いわくがあるって事と万が一の時の相談先だけが管理者から伝えられる。
   伝える際には相談役、つまりわしらみたいな家柄のもんが立ち合うから、
   それだけでいわくの意味を理解するわけだ。今の相談役はうちじゃねえが、
   至急って事で昨日うちに連絡がまわってきた。」

どうやら一昨日Bのお母さんが電話していたのは別のとこらしく、
話を聞いた先方はBを連れてこの家を尋ね、話し合った結果こっちに任せたらしい。
Bのお母さんはオレ達があそこに行っていた間に、すでにそこに電話してて
ある程度詳細を聞かされていたようだ。

葵「基本的に、山もしくは森に移されます。御覧になられたと思いますが、
  六本の木と六本の縄は村人達を、六本の棒は巫女の家族を、四隅に置かれた壺は
  生き残られた四人を表しています。
  そして、六本の棒が成している形こそが、巫女を表しているのです。
  なぜこのような形式がとられるようになったか。
  箱自体に関しましても、いつからあのようなものだったか。
  私の家を含め、今現在では伝わっている以上の詳細を知る者はいないでしょう。」

52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/02(月) 19:12:02.88 ID:Miqo0XRx0
ただ、最も語られてる説としては、生き残った四人が巫女の家で怨念を鎮めるための
ありとあらゆる事柄を調べ、その結果生まれた独自の形式ではないか…という事らしい。
柵に関しては鈴だけが形式に従ったもので、綱とかはこの時の管理者によるものだったらしい。

伯父「うちの者でかんかんだらを祓ったのは過去に何人かいるがな、
   その全員が二、三年以内に死んでんだ。ある日突然な。
   事を起こした当事者もほとんど助かってない。それだけ難しいんだよ。」

ここまで話を聞いても、オレ達三人は完全に置いてかれてた。
きょとんとするしかなかったわ。

だが、事態はまた一変した。

伯父「お母さん、どれだけやばいものかは何となくわかったでしょう。さっきも言いましたが、
   棒を動かしてさえいなければ何とかなりました。しかし、今回はだめでしょうな。」

B母「お願いします。何とかしてやれないでしょうか。私の責任なんです。どうかお願いします。」

Bのお母さんは引かなかった。一片たりともお母さんのせいだとは思えないのに、
自分の責任にしてまで頭を下げ、必死で頼み続けてた。
でも泣きながらとかじゃなくて、何か覚悟したような表情だった。

伯父「何とかしてやりたいのはわしらも同じです。
   しかし、棒を動かしたうえであれを見ちまったんなら……
   お前らも見たんだろう。お前らが見たのが大蛇に食われたっつう巫女だ。
   下半身も見たろ?それであの形の意味がわかっただろ?」

「…えっ?」
オレとAは言葉の意味がわからなかった。下半身?オレ達が見たのは上半身だけのはずだ。

A「あの、下半身っていうのは…?上半身なら見ましたけど…」

54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/02(月) 19:12:53.71 ID:Miqo0XRx0
それを聞いておっさんと葵が驚いた。
伯父「おいおい何言ってんだ?お前らあの棒を動かしたんだろ?
   だったら下半身を見てるはずだ。」

葵「あなた方の前に現われた彼女は、下半身がなかったのですか?では、腕は何本でしたか?」

「腕は六本でした。左右三本ずつです。でも、下半身はありませんでした。」
オレとAは互いに確認しながらそう答えた。

すると急におっさんがまた身を乗り出し、オレ達に詰め寄ってきた。
伯父「間違いねえのか?ほんとに下半身を見てねえんだな?」

オレ「は、はい…」

おっさんは再びBのお母さんに顔を向け、ニコッとして言った。
伯父「お母さん、何とかなるかもしれん。」

おっさんの言葉にBのお母さんもオレ達も、息を呑んで注目した。
二人は言葉の意味を説明してくれた。

葵「巫女の怨念を浴びてしまう行動は、二つあります。
  やってはならないのは、巫女を表すあの形を変えてしまう事。
  見てはならないのは、その形が表している巫女の姿です。」

伯父「実際には棒を動かした時点で終わりだ。必然的に巫女の姿を見ちまう事になるからな。
   だが、どういうわけかお前らはそれを見てない。動かした本人以外も同じ姿で見える
   はずだから、お前らが見てないならあの子も見てないだろう。」

オレ「見てない、っていうのはどういう意味なんですか?オレ達が見たのは…」

葵「巫女本人である事には変わりありません。ですが、かんかんだらではないのです。
  あなた方の命を奪う意志がなかったのでしょうね。
  かんかんだらではなく、巫女として現われた。
  その夜の事は、彼女にとってはお遊戯だったのでしょう。」

56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/02(月) 19:14:05.41 ID:Miqo0XRx0
巫女とかんかんだらは同一の存在であり、別々の存在でもある…?という事らしい。

伯父「かんかんだらが出てきてないなら、今あの子を襲ってるのは葵が言うようにお遊び程度の
   もんだろうな。わしらに任せてもらえれば、長期間にはなるが何とかしてやれるだろう。」

緊迫していた空気が初めて和らいだ気がした。
Bが助かるとわかっただけで充分だったし、この時のBのお母さんの表情は本当に凄かった。
この何日かでどれだけBを心配していたか、その不安とかが一気にほぐれたような、そういう笑顔だった。

それを見ておっさんと葵も雰囲気が和らぎ、急に普通の人みたいになった。

伯父「あの子は正式にわしらで引き受けますわ。お母さんには後で説明させてもらいます。
   お前ら二人は、一応葵に祓ってもらってから帰れ。今後は怖いもの知らずもほどほどにしとけよ。」


この後Bに関して少し話したのち、お母さんは残り、オレ達はお祓いしてもらってから帰った。

この家の決まりだそうで、Bには会わせてもらえず、どんな事をしたのかもわからなかった。
転校扱いだったのか在籍してたのかは知らんが、これ以来一度も見てない。
まぁ死んだとか言うことはなく、すっかり更正して今はちゃんとどこかで生活してるそうだ。

ちなみにBの親父は一連の騒動に一度たりとも顔を出してこなかった。
どういうつもりか知らんが。オレとAもわりとすぐ落ち着いた。
理由はいろいろあったが、一番大きかったのはやっぱりBのお母さんの姿だった。
ちょっとした後日談もあって、たぶん一番大変だったはずだ。

母親ってのがどんなもんか、考えさせられた気がした。
それにこれ以来うちもAんとこも、親の方から少しづつ接してくれるようになった。
そういうのもあって、自然とバカはやらなくなったな。

58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/02(月) 19:14:52.98 ID:Miqo0XRx0
一応他にわかった事としては、

特定の日に集まってた巫女さんは相談役になった家の人。
かんかんだらは、危険だと重々認識されていながらある種の神に似た存在にされてる。
大蛇が山だか森だかの神だったらしい。
それで年に一回、神楽を舞ったり祝詞を奏上したりするんだと。

あと、オレ達が森に入ってから音が聞こえてたのは、かんかんだらは
柵の中で放し飼いみたいになってるかららしい。
でも六角形と箱のあれが封印みたいになってるらしく、
棒の形や六角形を崩したりしなければ姿を見せる事はほとんどないそうだ。

供養場所は何らかの法則によって、山や森の中の限定された一部分が指定されるらしく、
入念に細かい数字まで出して範囲を決めるらしい。
基本的にその区域からは出られないらしいが、柵などで囲んでる場合は
オレ達が見たみたいに外側に張りついてくる事もある。

わかったのはこれぐらい。

オレ達の住んでるとこからはもう移されたっぽい。二度と行きたくないから確かめてないけど、
一年近く経ってから柵の撤去が始まったから、たぶん今は別の場所にいるんだろな。

おしり


http://blog.livedoor.jp/nwknews/archives/3726439.html

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祖母がしたこと・・・

私の一番古い記憶は三歳。木枯らしの吹く夕方、一人でブランコを漕いでいるところ。
手も足もかじかんで、とても冷たい。でも今帰れば母に叱られる。
祖母に迎えに来て欲しい、ここはいつも来る公園なのだからきっとすぐわかるはず。
そのうち、風に揺られてるのかブランコに揺られてるのかわからなくなる。

私は母に虐待されて育った。
飲み物をこぼした、ちょっと足音をたてて歩いた、声を出して笑った。そんな理由ですぐ折檻された。
気が済むまで殴られる、安全ピンでお尻を刺される、冬に水風呂に入れられる。
煙草を吸わされ背中を灰皿にされる、食事を抜かれる、家に入れてもらえない。
私に向かって拳を振り上げる母は、喜んでいるように見えた。

父は見て見ぬ振りをした。
失敗して叱られ何度も蹴られる私の横で、テレビを見ながら食事をしてた。
終わると、「お母さんの言うことをちゃんと聞きなさい」と言った。
助けてくれたのは祖母だけだった。折檻の傷の手当てをして、一緒の布団で眠ってくれた。
私をかばい、代わりに蹴られてしまったことすらある。それを見た時、恐ろしさに泣いてしまった。

お前のせいで痛い目にあったと叱られるんじゃないかと思った。
それ以上に、もう自分を嫌いになるんじゃないかと思って、恐怖で息が詰まりそうだった。
二人で部屋に戻ると泣きながら祖母の足に湿布を貼り、自分は殴られても大丈夫だから、
いいからと必死に訴えた。何より祖母に嫌われるのが怖かった。
祖母は私を抱きしめて泣いた。そしてそのまま一緒の布団で眠った。


947: 本当にあった怖い名無し:2006/04/12(水) 10:14:34 ID:cr2+0dQ+0
あれは多分五歳頃。ふと夜中に目を覚ますと、隣で眠ってるはずの祖母がいなかった。
きっとトイレに行ったんだろうと思い、そのまま目を瞑った。
でも、しばらく経っても戻ってこない。

もしや母に何かされたのかと思い、そうっと起き上がり、襖の外の様子を伺った。
何も聞こえない。音をたてないように襖を開け、祖母を探しに出た。
真っ暗な家の中、どこにもぶつからないようにと注意していた。気づかれればまた殴られる。

トイレにも台所にも、居間にもいなかった。
もしかして自分を置いて出て行ってしまったのだろうかと思い、居間を通って玄関に靴を見に行こうとした。
庭に面した窓のカーテンが、少し開いている。
外に人が立っているように見えたので、隙間から覗いてみた。

祖母がいた。こちらを向いて、無表情に突っ立っている。
良かった、私を置いて行ったんじゃなかった。安堵で胸が一杯になり、カーテンを開けようとした。
すぐに思い留まった。何かおかしい、いつもの祖母と何かが違う。あんな気味の悪い祖母は見たことない。

何がおかしいのかはすぐにわかった。
祖母は犬の首を持っていた。どこから捕まえてきたのだろう、薄い茶色で、舌がでろりとたれている。
大きさは多分中型くらい、それでも首を切るのは大変だっただろう。
犬の頭も、足元に転がった体も、祖母も、赤く染まっていた。

しばらく突っ立ったままだった祖母はやがてだるそうに犬の胴と頭を持ち、どこかに行ってしまった。
見てはいけないものを見たんだろう。私は震えながら布団に戻り、
どうか祖母を元に戻して下さいと神様に祈っていた。神様なんていないとわかっていたけれど。

目が覚めると、祖母は隣で眠っていた。
元に戻っていなかったらどうしようと思い、起こさずにずっと見つめていたら、目を覚ましてくれた。
「おはよう、おなか空いたかい?」そう言って笑ってくれた祖母は、いつもの祖母だった。
あぁ良かった。安心して、うん、おなかすいた。と返事をした。
祖母から漂う生臭い匂いは、気にしないことにした。


948: 本当にあった怖い名無し:2006/04/12(水) 10:32:59 ID:cr2+0dQ+0
家の中を、狐や狸や犬のようなものがうろうろしているのが見えるようになった。
父も母も気づいていないようなので、自分にしか見えていないんだろうと思った。
ある日祖母にそのことを言うと、とても嬉しそうな顔をした。

それは何をしてるんだい?と聞かれたので、ありのままを答えた。
父と母にまとわりついていて、それがくっついてると二人ともとても気分が悪そうだと。

夜中に母が叫ぶことが多くなった。昼間も青い顔をしている。どうやらあまり眠れないらしい。
母の体調が悪くなってから折檻はだいぶ減ったが、いらいらしているのだろう。
体中ライターの炎であぶられ、手のひらに研いだ鉛筆の芯を何本も差されたりした。

その頃から祖母に、玄関から出入りしちゃいけないよと言われた。
理由は問わなかった、大好きな祖母の言いつけだ。
祖母と私は裏の勝手口に靴を置き、そこから家に出入りするようになった。

家の中が生臭くなってきた。特に父と母から強く臭うようだ。
二人とも奇麗好きだったのに、だんだん身なりに構わなくなってきた。
爪が伸びて、中に黒いものが詰まってる。服もなんとなく汚れてる。お箸を使わない。

連投すると規制かかってしまいますので、ゆっくりいきます。


952: 本当にあった怖い名無し:2006/04/12(水) 11:03:56 ID:cr2+0dQ+0
父が独り言を言うようになった。
何を言ってるのか聞きたくて、後ろからそっと近づいてみたが、聞き取れない。
父はとても臭い。それは獣の匂いなのか、父の下着に溜まった排泄物の臭いなのかわからない。

母が金切り声をあげる。空中に向かって包丁を振り回す。
そういえば最近、折檻されていない。もう母には私が見えていないのだろう。

七歳の時、市役所や病院の人が来て、父と母を連れて行った。
祖母は宜しくお願いしますと頭を下げていたが、みんなが帰ると私を振り返ってにっこりした。
私もにっこりした。大好きな祖母と二人だ、これでもう何も怖くない。

十三歳の時に祖母は脳梗塞で倒れ、体が不自由になってしまった。
家の中にいた獣達は、皆祖母にまとわりついていった。
そう告げると祖母はため息をつき、きっと返ってきたんだねぇと呟いた。

それから二年、痴呆でゆっくりと子供に戻りながら、祖母は他界した。
全身に原因不明の湿疹と蕁麻疹が広がり、掻き毟りながら逝ってしまった。
遺体を解剖して、死因は蕁麻疹で喉が腫れた窒息死だったそうだ。

原因不明の湿疹と蕁麻疹は、動物アレルギーからくるものだと言われた。
動物を飼ったことはなかったけれど、わかりましたと返事をした。

私はまだあの家に住んでいる。相変わらず勝手口から出入りしている。
獣達の姿も、獣のようになってしまった祖母の姿も見える。
祖母が何をしたのかは聞かなかったが、きっと私の為を思ってのことだろう。
どのような姿であれ、祖母が側にいてくれる。それだけで嬉しい。

終わりです。

http://blog.livedoor.jp/nwknews/archives/3890150.html

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ミラーおばさん

昔住んでいた街には「ミラーおばさん」という人がいた。

ミラーおばさん自体は細身で身なりも小ぎれいにしていて、化粧もバッチリしている50代くらいのおばさんなので、普通にしてれば普通の人。だけど、常に手鏡で自分を映している。

ミラーおばさんが、よく自転車に乗ってる姿を見たのだが、常に手鏡で自分の顔を映し、それを見ながら運転していた。なので、自転車は不安定に左右に揺れながら進んでいた。また、スーパーなどでも度々目撃したが、その時も手鏡で自分を映しながら買い物をしてた。その動きは不自然で、急にUターンしたり、立どまったり。とにかく変というか、正直少し不気味だった。

そして、事件は起きた。

その日、僕は駅から家に向かって歩いていたのだが、自転車の気配を感じたので、ちらりと振り返ると、後ろからミラーおばさんが自転車で向かってきていた。暗闇に浮かぶ白塗りの顔は不気味だった。

なぜか、僕は何となく「ミラーおばさんの後をつけてみよう」と思い、携帯をいじるふりをして立ち止まり、ミラーおばさんが通り過ぎるのを待った。自転車はフラフラと左右に蛇行しながら僕を追い抜いていった。

その瞬間、街灯に照らされたミラーおばさんと手鏡越しに目が合ってしまった。「あ、ヤバイ」と直感的に思ったのと同時に、ミラーおばさんはピタっとペダルを漕ぐのをやめ、その場に止まってしまった。

道は一本道で、ミラーおばさんの横を通り過ぎないと帰れない。恐る恐るおばさんの横を通った。もちろん目を合わせないように。そしておばさんの横を通り過ぎる時、耳元でボソっと声が聞こえた。

「わたし、キレイ?わたし、キレイ?わたし、キレイ?わたし、キレイ?わたし、キレイ?」

おばさんの横を通り過ぎるとダッシュで逃げた。自転車が追ってくるのを感じたけど、とにかく全力で走った。やがて大通りに出たので、後ろを振り返ると自転車は遠くに見えた。蛇行していた。それを確認すると再び走ってなんとか家まで逃げ帰った。

ベランダから息を潜めて外の様子を伺った。ミラーおばさんは家の前を通って、先の方にどんどん遠ざかっていった。ひとまずは安心したが、この先が少し心配。

http://cante.la/4e6d755ca6cd25eb2900000e

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ストーカー事件

こういうリアルな話は怖い。狂気に落ちた人間は怖い。

日本でも、ストーカー事件は急増している。
過去3年間で報告されている殺人及び未遂事件は17件、
傷害・暴行・脅迫などを含めると1000件に及ぶストーカー事件が起きているのだ。

そんな中でも、衝撃の結末を迎えたストーカー事件を紹介しよう。
この事件を担当した(株)ジャパン・プライベート・サービスの樋渡氏に話を聞いた。

1998年1月、都内に住む山本さん(仮名)が会社から帰宅すると、
彼のアパートの部屋の前に一人の女性が立っていた。
彼女は山本さんが以前に少しだけつきあったことのある慶子(仮名)という女性で、
半年前に山本さんから別れをきりだし、もう会うことはないはずだった。

ところが女性の方は山本さんを忘れることができず、毎日のようにアパートを訪れるようになっていた。
あまりにしつこく毎日のように姿を見せる女性を気味悪く思った山本さんは、樋渡さんの会社に相談に訪れた。

最初は樋渡さんも、悪質なものではないだろうということで、
様子を見るようにと山本さんにアドバイスをしたという。

ところが1ヶ月後、山本さんが家に戻ると部屋の前には彼女の姿がなかった。
安心してドアを開けて部屋に入った山本さんだったが、彼はそこで息をのむ。
彼女は部屋の中で待っていたのだった。

管理人にドアを開けてもらったという彼女に山本さんは、自分にはもう彼女ができたので、
いい加減彼女面をするなと思わず怒鳴ってしまった。
すると彼女は突然立ち上がり、片手に持っていた剃刀をゆっくりと持ち上げ、
何故か微笑みながら自分の手首におろした。

驚いた山本さんは彼女を病院に運び、一命を取り留めた慶子はそのまま入院することになった。
彼女のこの異常な行為が恐ろしくなった山本さんは、彼女が入院している間に
東京での仕事を辞めて実家のある長野県に引っ越した。
ところが引っ越してから3ヶ月後、彼は想像を絶する恐怖に襲われることになる。

仕事から戻って家族のくつろぐ居間に行くと、なんとそこには
ストーカーの彼女が楽しげに家族と話していたのだ。
驚きのあまり声の出ない山本さんに、母親は「あなたのお姉さんになるのよ」と言った。

慶子は立ち上がり、「はじめまして。慶子です。よろしくね、弘さん」と言った。
彼女は、山本さんの兄と結婚することになっていたのだ。

ストーカーが自分の兄と結婚するという、信じられないような結末。
彼女はその後、本当に結婚して子供までもうけたという。
これで2人は一生付き合い続けなけらばならないのだ。
これが、彼女の望んだ形だったのだろうか。

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邪霊の巣窟

この話は十数年にも渡り自分と現妻や実兄、町をも巻き込み、恐怖のどん底に引きずり込んだ実話です。
かなり長い上に自分が書き込みに慣れてない為読みにくい部分もあると思いますがご容赦下さい。


全ての始まりは小学3年生の時でした。
兄と兄の友達3人に誘われてこの町で大人たちから「絶対に近ずくな」と
きつく言われていた場所に内緒で行く事になりました。

その場所とは今は誰もいない寂れた神社で子供ながらにかなり不気味で嫌な感じがしました。
本当は乗り気ではなかったのですが兄たちに半ば強引に誘われる形で
行く事になり仕方なく行くといった感じでした。

決行当日の昼に自分と兄は少し様子見に現地に行きました。
すると最近この町に町の役所だか町長だかから、仕事を頼まれてやって来たらしい
20代半ばくらいの男性がその場所にいて、
「君達、ここには何があっても絶対に来ては駄目だよ近づかない方がいい、早く戻るんだ。いいね?」
と言われ追い返されてしまいました。しかし兄達はその夜に計画を実行してしまいました。

まずその神社は町の高台にあり、さらにそこから伸びる坂を上がった所にあります。
その坂には鳥居が幾つも連なっておりかなり不気味でした。
最初は皆固まってあるいていたのですが誰かが
「別行動しよう」
と言い出して兄と自分、兄の友達3人に別れて行動する事になりました。

そしてしばらく歩いていると急に周りの空気というか空間自体というか・・・
とにかく何かが変わりました。
自分は兄に「帰りたい」と言おうとしたら・・
「帰るぞ、今すぐに」
と兄がいきなり言い出し、自分の腕を引っ張って引き返しだしました。

後少しで鳥居という所で兄が立ち止まり、正面を見て震えていました。
自分も恐る恐るそこをみると・・・・・。
子供が数人ほど自分らの進路を遮る様に立っていました。
その顔を見ると皆半ば白目を向いて無表情な顔をしていました。

兄は恐怖に耐え兼ね、叫びながら自分を引っ張って走りだしました。
子供たちを突っ切り、もう出られると思った瞬間・・・兄が悲鳴を上げて倒れたんです。
自分が兄の方を見るとなんと、先程の子供たちが兄にしがみついていたんです。
自分は何とか逃げて助けを呼ぼうとしましたが体が動きません。
自分の下半身がやたら重い事に気づき、目を向けると・・・・
なんと白目を向いて歯を剥き出しにした老婆が腰にしがみついていたんです。
自分は恐怖というより死を覚悟しました。

死を覚悟して目をつむると自分にしがみついている老婆が。
「おいで・・おいで・・・こっちにおいで・・」
と頭に直接響くような声で呟いてきました。

自分はそれを聞いた途端に死を覚悟したはずが物凄い恐怖心を感じ、思わず目を開いてしまいました。
すると老婆が自分の身体をはい上がって来ていて顔が目の前に有りました。
自分は力の限り叫びましたが、あんなに大きく叫んでいたのに
近所の人は何故気づかないのかと思っていました。

そして兄の友達はどうしたのだろうと思い兄の方を見ると・・・。
兄は子供たちに神社の奥へ引きずられて行ってました。
自分は必死で助けを求めて叫びました。

すると背後から聞いた事ある声が聞こえました。
「もう大丈夫だよ」

その声を聞いた途端に身体が軽くなりました。
振り返ると昼間に会ったあの男性でした。後ろからは大人たちが大勢やって来ていました。
怒ってる声や心配している声も聞こえました。

「助かった?」
と思い、兄を見るとなんとか無事なようでほっとして腰が抜けてしまいました。
男性たちが心配そうに声をかけてくれていると兄が
まだ奥に何人かいる事を告げると男性の顔色が変わり「まずい!!早く助け出さないと大変だ!!」
と言って数人の大人たちと走って行きました。

それから兄の友達は神社の中で見つかりました。
変わり果てた姿で・・・。

命は助かったけど精神をやられていたそうで、
その人たちは、そのまま町から出て病院へ行き入院したそうです。
自分たちは皆にこれ以上無いくらいに叱られました。母親たちは泣いていました。

その後で聞いたのですが、あの神社は元は普通の神社でそれなりの力を持った住職がいたそうです。
しかしなまじ力が強い為、助けを求める霊が次々と集まって来て、
最初はきちんと対処していた住職もやがて堪えられなくなりそのまま逃げ出したそうです。

本来、住職が居なくなったり取り壊されてしまう神社は、ちゃんとした儀式などを行い
場を清めてから祭ってる神を別の場所に移すという事をしなければならないそうですが。
この神社はそのまま放置された為、祭ってる神がいるのに祭る住職が居ない、
そしてまだ助けを求める霊が集まって来ているという事から、
神の性質が異常をきたし結果、邪霊の住家となってしまったとの事でした。

男性は町から依頼されて退魔士関係の本山から派遣されて来ていた人物だそうです。
その人が言うには、この神社は過去に例が無いくらいに酷い状態だそうで
浄化するにはかなりの期間が必要と言っていました。

自分たちはお祓いを受けてそのまま帰されました。
もう絶対にあの場所には近づかないと決めました。
あんな思いは沢山だと思いました。





あの事件はまだ始まったばかりだったんです。
数年後・・・あの時とは比べものにならない恐怖を味わう事になりました。

自分が中学3年になった時に、クラスで何かと目立つ存在のMが、
こともあろうにあの神社で肝試しをやると言いはじめたのです。
自分と自分彼女(現妻)のAも誘われましたがそれが引き金となり、
また兄や町を巻き込む事件が起きてしまいました。
続きます。長くてごめんなさい。


遅くなりました。続きです。
Mがあの神社に肝試しに行くと言い出したの聞き、自分は震えが止まりませんでした。

そしてMが「おい!!T(自分の事です)。お前も来るんだろ?
Aも誘ってるから当然来るよな?まさか逃げないよな?」
と挑発とも思える言葉で誘ってきました。
自分は当然断りました。
「いや・・悪いけど行かない・・そっちもあそこへは絶対に行かない方がいいよ・・・。
悪い事は言わないから止めた方がいい。」
と止める事もしましたがMは全く聞き入れず、逆に自分を臆病者、
知ったかぶりしてカッコつけている、等と罵ってきました。

何度説得してもダメでした。自分もあの時の事を詳しく言えればよかったのですが、
町の大人やあの男性からあの事を人に言ってはならない、と固く禁止されていたので言う事ができません。

禁止された理由を言いますと、人と人の繋がり関係は
普通に考えているほど簡単でなく、もっと深く、複雑な物らしいのです。
例え少ししか会話した事なくても(挨拶程度でも)
その人同士はそれで関係を持った事になり繋がってしまうらしいのです(強弱はあるみたいですが)。
例え本人たちの仲が悪くても関係なく繋がってしまうらしいです。
有名な「言霊」もこの事が関係してると言っていました。

たがらあの事を他人に話す事はあの事件に関係した自分は当然として、
あの邪霊とも繋がる恐れがあり、自分を通して奴らが事件の事を知った人を
呼び寄せる可能性があるという物でした。
だから自分は事件の事は言えませんでした。
言えば関係無い人まで聞いてしまったり、Mが人に話す恐れがあるからです。

自分はなんとか行くのを止め様としましたが、取り付く島も無いといった状態で
逆に学年中に「Tは臆病者」、「彼女だけ行かせて自分は行かない卑怯者」とか言い回り、
自分はイジメとまではいきませんが、少し孤立してしまいました。

なぜMが自分に対してあんな態度を取っていたのか・・・。
その理由はこの事件の本当に最後・・・
この時からさらに数年後に解る事になりました。

自分はAだけでもと思い説得しましたが、
「R(Aの親友)も行くし、約束しちゃったから・・今更断り切れないよ・・」
と言って聞いてくれませんでした。

あのMが流した話を聞いて自分に少し不信感を抱いていたみたいでした。
自分はAをほおって行く事はしたくない・・・でもあそこに二度と行きたくない・・・。
止めようにも真実を話せない。
(Aだけに伝えようにも多分MやRが強引に聞き出す恐れがありましたし)
自分が悩んでいると一つ思い出した事がありました。

あの事件の後にあの男性から
「また君たちに危害が及ぶ可能性もあるからこれを持っていなさい。肌身離さずとは言わないけどなるべく近くに置いて置くんだ。これを持っていたら余程の事じゃない限り大丈夫だから・・・いいね?」
と数珠に似ているお守りを自分と兄にくれた物があったんです。

自分はそれをAに
「自分はやっぱり行けないからこれを持って行って。忘れたり無くしたりしない様にね・・・。」
と言って渡しました。Aも少し悩んだけど了承して受けとってくれました。

自分は2つ持っているので一つ渡しても大丈夫だろうと思いました。
もう一つは兄が持っていた物ですが兄はもう家にいません。
兄が何処に行ったかは後でお話します。
そしてMが「計画した」肝試しの当日の夜がやって来ました。
自分らにとって悪夢の様だった夜が。
続きます。


投稿間隔が長くてごめんなさい。続きです。  

肝試し当日の夜、自分は少し後悔していました。 
皆を無理にでも止めるべきだったかもしれない・・
Aが行ってるのに自分は怖いからという理由で行かないなんて最低ではないのか?・・と。 

自室で悩んでいると下の階から電話が鳴り始めました。
両親が中々電話を取らないので自分が電話に出ると・・、   
「あ!!T?Aが・・Aが・・大変なんだよ!!とにかくすぐにきて!!」電話はRからでした。 
「大変って・何がおきたの?Aはどんな状態なの?」        
「とにかく助けて!!今神社なの!1早く来て!早く!!」 
     
自分は最悪の事態になったと思いました・・。 
自分が臆病なせいでAが大変なことになったと激しく後悔しました。  
もう恐怖心よりAのことが心配でたまらなくなり、神社に行く決意をしました。

しかし自分一人が行ってもどうも出来ないかもしれない・・・。
自分は少し悩みましたが両親に相談することにしました。
初めからこうすれば良かったのですが。
言えばMとかに大人にいいつけた卑怯者と罵られ皆に・・Aに嫌われる。
そんな自分勝手で自己保身的な考えで言えずにいました・・・。
自分は自己嫌悪な気持ちでいっぱいでした・・・。  
 
本当は兄に相談したかったのですが、兄はあの事件の後も霊現象に襲われていました。
どうやらあの事件の影響は兄のほうが深刻だったらしく、
退魔士関係の本山(どう表現したらよいのか解からない為、とりあえずこう呼ぶことにします)で
浄化されることになり今はいないのです。

兄は出発時に。         
「俺はあっちに行くからこれはお前が持ってな。一つより二つの方が効果あると思うから」
とお守りを渡してくれました。

両親に言うと二人は物凄く慌てて
「町の人たちを集めてあの人たちに連絡しよう。お前は絶対に家から出るなよ!!」と言ってでていきました。

しかし自分もAや皆が心配でたまらなかったので一足先に神社へむかいました。
しかしその時気づけばよかったのです。    
自宅の電話番号はAから聞いたりクラスメイトだから知ってても不思議じゃありませんが・・。 
どうやって神社から電話をかけた?

あの頃はまだ携帯もそこまで普及しておらず、クラスの皆は誰ももっていませんでした。
入り口の鳥居にたどり着いたものの、その不気味な雰囲気はそのままで
入るのに躊躇してしまいましたが意を決して入りました。
       
恐怖に震えながら進んでいると、あの悪霊たちが姿を見せないので不思議に思いました。
神社の境内は静かなものでした。
いや・・静かすぎたんです。

何か起こっているなら皆の叫びなり悲鳴なり聞こえてくるはずです。
さらに進むと誰かが座り込んでいるのが見えました。よく見てみるとAでした・・。
自分はすぐに駆け寄って      

「A!!大丈夫?何があったの?皆は?」とAの肩を抱きながらききました。
「あ・・T・・。う・・うう・・」とAは泣き出してしまいました。

「一体何があったの?怪我とかはない?皆はどこにいったの?」
「わかんないよ・・しばらく歩いていたら皆急に無口になって先に行っちゃって・・
追いかけようとしたら転んじゃって・・いくら叫んでも答えてくれなくて・・
そしたらへんな子供が出で来てここまで引っ張られて・・・」
自分はそれを聞いてまずいと思いました・・。

あの時と酷似してる・・とあの電話の事もその時気づきました。
とにかくAを連れてここから出よう・・そう思って振りかえると・・。 
子供が2~3人こちらを見つめていました・・。 

しまった!!と思いAを立たせて逃げようとして気づきました。
その子供たちは表情があの時の子供と違うんです。
怒った顔でこっちをみていました・・。
  
「あの子たちだよ・・私をここまで引っ張ってきたの・・・」     
Aが涙声で言いました。

「帰れ」       
「ここから早くでていけ」         
その子供たちが自分らにそういいました。

どうして?と自分が子供たちを見ていると・・。   
知ってる・・俺はこの子たちを知ってる・・。
そう感じた瞬間・その子たちが誰かわかりました。

あの時巻き込まれた兄の友達でした・・。 
「あぁ・・そっか・・そうなんだ・・君たちがAをここまで連れてきてくれたんだね?
今、悪霊から守ってくれてるんだね?」        
自分は泣いていました。

そしてAに
「あの子たちは大丈夫だから・・今のうちにでよう・・・大人たちも後でくるからそれから皆をさがそう」       
と言って落ち着かせました。Aは素直に頷き歩き始めました・・。
 
ところがいきなり周りの空気が変わったのです。Aもそれに気づき足を止めました。
そして周りを見ると・・悪霊たちが自分たちを取り囲む様に立っていました。

「ひっ!!」
「きゃああああ!!」 
ほぼ同時に悲鳴を上げその場にへたり込んでしまいました・・。
あの子達が抑えていてくれたのが限界がきてしまったのでしょうか?
自分たちはお互いを抱き合い恐怖に震えるしかありませんでした・・。  
     
しかし・・悪霊はこちらに近づいてこようとはしませんでした・・。
自分はすぐにお守りがあるからだと気づきましたAをみるとちゃんと腕にお守りをしていました。
お守りが二つあるから効果も高いのでしょうか?それ以上近寄ってこれないみたいでした。   
「A・・走るよ・・お守りがあるから何とかなるかもしれない・・いい?止まったり振り返らないように走るよ」
とAに言いました。

Aも頷き手を固く繋ぎました。
自分はその辺の棒切れを掴んで無駄な事とは思いながらもそれを振り回しながら走りました・・。
悪霊たちが追ってきているのを背中越しに感じながらも走りました。

そして鳥居が見えてきて「鳥居を潜れば大丈夫だから!!もうすぐで逃げられるよ!!」
とAに声をかけながら走り続け、ついに鳥居を抜けました・・・。
逃げ延びた安堵感でいっぱいになり二人してその場に座り込みました。

しかし

顔を上げるとなんと悪霊たちがすぐ傍まで来ていました。
かなりの数がいたと思います。あの時は4~5体くらいだったのに・・。
浄化が少しづつ行われて数は減っているはずなのに・・。

しかもどうして神社からでてこられるんだ?
お守りを持っているのになんでそこまで近寄れるんだ?
さっきまで大丈夫だったのに・・・・。
恐怖に震えながらもそんが考えがうかびあがってきました。
そして悪霊たちが自分らにさらに近寄って来たのです。

「いゃああああ!!なんで?どうして?私たちが何をしたっていうの?許して!!許してよぉおお!!助けてー!お母さん!お母さん!」Aが泣き叫んでいました。

自分も叫んで助けを飛びましたが誰も気づきません・・
それどころか街灯や民家の明かりなどが一切無いことに気づきました。
悪霊が自分らを引きずり始めました・・。   

自分はあの時の様に「あぁ・・俺・・これで死んでしまうんだろうなぁ・・」と考えていました。
Aは気を失ったのかもう叫んでいませんでした。

自分らが鳥居の中に引きずりこまれ始めた時、バチ-ーーーン!!と大きな音がしました。
その音に我に返り周りを見ると悪霊たちの姿は無く街灯や民家の明かりも見えていました。

Aも突然のことに呆然としていました・・。
「え?助かったの?」と自分らは顔を見合わせました。
すると腕につけていたお守りが二人とも壊れているのに気づきました。
まさかこれが身代わりに?と考えていると向こうから大人たちがやって来ました。

その中には退魔士の人たちやなんと兄もいたのです。
自分は事情や状況を話しました。きついお叱りも受けましたが皆優しく迎えてくれました。
中に残ってる人たちを連れ戻すために退魔士と大人たちが行くことになりました。
それとなんと兄も同行するらしいとわかりました。

「俺も無関係じゃないしな、俺をきちんと浄化するにはもう一度入らないといけないらしいし」と言ってました。
そして・・自分も同行を希望しました。
当然のように大反対をされましたが自分の責任でもあるし・・
そしてなによりも絶対に自分で確かめないといけないことがあるからでした。

自分も一歩も譲らず頼み込んでいると、絶対に単独で行動しない事、
皆から離れないことを条件に了承してくれました。
Aをみるとどうして自分が行こうとしているのか。
確かめたいことがなんなのかを解かっているようでした。 
自分は恐怖心を振り払いながら皆について再び神社の中に入っていきました。

道中、兄に兄の友達のことを話すと兄は涙を流しながら        
「うん・・そうか・・あのな・・あいつら・・ついこの間・・息を引き取ったんだ・・俺のとこにも来たよ・・そっか・・お前を守りに行ってくれたんだな・・ありがとう、ありがとう・・」    
兄は泣きながらあの子達にお礼を言ってました。

自分も泣きながらお礼を言いました・・。 
そしてしばらく歩いていると兄に変化がでたんです。
いきなり倒れこんで苦しそうに顔をゆがませていました。

よく見ると兄に悪霊が圧し掛かっていました。
すぐに退魔士の人が除霊を施したのですが中々払えませんでした。
数人掛りでやっと払うことが出来ました。

その後・・クラスメイトは神社のご神体(と思われるもの)の前で見つかりました・・
中は血の海でした。自分はたまらず嘔吐してしまいました。
すぐに救急車が呼ばれ運ばれていきました・・
幸い重傷ではあるものの命に別状はないとの事で少し安心をしました。

しかし霊が肉体に直接傷をつける事ができるのかと疑問に思いました。
そして・・神社の裏の大木でMが遺体で見つかりました。
自分は見るなと言われて見ておりませんが、
自分が確認したかったのはこれの事だったんだと改めて認識しました。
理由は後ほど語ることにします。

それから、もうこのままにしてはおけないと退魔士の人たちが、大掛かりな浄化を行うことになりました。
本来はまだ変質しているとはいえ神がいる状態なので少しづづ行い、
神っを徐々に元の姿に戻していくのが最善だったらしいのですが、
事は急を要する為にやむを得ず行うことになったそうなんです。

数日後・・その浄化の儀式が始まりました。
自分はTVなどで除霊儀式などを見たことありますが、全く規模が違いました。
自分とAも当事者なため参列することになりました。
自分はこの光景を一生忘れることはないと思いました・・。

この事件ですが死者でたににも関わらず新聞沙汰などにはなりませんでした。
どうやら退魔士関係の人たちや町の人たちが根回ししたようでした。
自分は事実を知ることでの感染を防ぐ為だと思っていましたが、別の理由もあったのです・・。  

その理由も先ほどの自分のことと同様にこの数年後に判明することになりました・・。
今回の事件の真相も・・・。   
続きます。


前回は本当に申し訳ありません。なんとお詫びしたらよいのか・・・。
本当にごめんなさい。
えっと・・・もう読んでくれる人いないかもしれませんが・・続きです。

あの後自分は高校に進学して、高校を卒業するとそのまま就職して町をでました。
Aも高校卒業後は大学に進学して自分と同じく町をでました。

自分たちは同棲という形で一緒に暮らしてAの大学卒業後に結婚しました。
それからさらに月日が経って、自分たちに娘が出来てその子が五歳になった時に
実家で法事がある為に帰省する事になったのです。

実家に帰る途中。自分たちはあの神社の前を通りました。
鳥居や神社自体も新しくなり、昔と全く違う様子でした。
あの事件・・・一人の死者がでてしまった事件・・・。
あの時自分がMの死を確認しなければならなかった理由・・・。それは。

「ねぇ・・・T・・あの時さ・・私たちがここで襲われてる時・・・あの悪霊の中に・・・Mがいたよね?それを見たからあの時確認に行ったんでしょ?」
Aは思い出した様に言いました。

「うん・・・・」
そう答えると二人とも黙ってしまいました。

「ママ・・おトイレ行きたい。」
娘のEがそう言い出し自分たちは実家へ急ぎました。

実家に帰って少しくつろいでいると
「E、お外で遊んでくるー」
と娘が言ってきたので
「車に気をつけてなーあんまり遠くに行くんじゃないぞー」
と声をかけました。

そしたら中々娘が帰って来ないので心配して探しに行こうとしたら、半ベソかきながら帰ってきました。
「どこに行ってたんだ。心配してたんたぞ」
と言うと娘の口から信じ難い言葉が出てきたんです。

「あのね。変なお兄ちゃんがこっちにおいでって言ってきたの。E行かないって言ったらお手々引っ張られたの・・・。それでね後ろから違う人に引っ張られてお寺(あの神社の事)に入れられて出れなくなってたの」
自分は驚愕しました。
まさか・・・と。隣にいたAも顔が真っ青になっていました。

「それで?どうなったの?何にも見なかった?体はなんともないの?」
Aが慌てて確認すると

「うん・・・なにも見てないよ・・。少し待ってたらドアが開いたから帰ってきたの・・・
パパ、ママごめんなさい。」
泣き出したEをAが抱きしめて必死でなだめました。

自分はすぐに兄に連絡をとりました。
兄はあの後にそのまま本山に戻り修行をしたいと申し出たのです。
兄に色々思う所があったらしく、両親や退魔士の方たちの了承を得て本山に行きました。

兄は直ぐに電話にでました。
「おぉ、Tか。久しぶりだなー。俺も明後日くらいに戻る・・・・・・・お前・・・・なんでそんな状況になってるんだ?なんだそれは!!お前何があった!!」

兄は何か気づいたみたいで自分が状況を説明すると
「いますぐ町から逃げろ!!いや・・・手遅れか・・いいか?
いますぐ両親やあの神社の管理人に言ってあの神社に立て篭もるんだ・・。
絶対に出るなよ!!俺らもすぐにいくから」

「は?冗談だろ?なんであの神社に・・・どういう事たよ!!」
自分はサッパリ状況が掴めず困惑していると

「お前らを狙ってる奴な・・マジで洒落にならん!!怨霊とか邪霊とかそんなレベルじゃない・・まさに魔物だよ!!信じられん・・どうやったらそんな風になれるんだ・・。いいか。すぐに神社に行くんだ!!」
と言って電話が切れました。

自分は困惑しながらも皆に事情を話し、また大騒ぎになりつつも神社に立て篭もりました。
そしてご神体のある部屋で朝を待つ事にしたのです。深夜遅くなり・・そろそろ眠気がきた時・・。

「おい!!俺だ!!来てやったぞ!!開けてくれ!!」
と兄の声が正面の入口から聞こえてきました。

しかし自分たちは兄のはずがないと思い
「入りたいならそっちの方から入ればいいだろう」と言いました。

自分とAはそいつが誰だか解っていました。
「M・・・Mなんだろう?解っているんだよ・・どうしてなんだ?どうして俺たちを・・・」
と言った瞬間に入口が開きそこには当時のままのMがいました。

「あ・・・Eを連れて行こうとしたお兄ちゃん」
Eがいいました。
やっぱり・・・。自分はそう思いました。
そしておそらくはEを後ろから引っ張って神社にいれたのは
この神社に祭られている神様なんだと思いました。

正常に戻った神様はあの事件の被害者である、自分たちの娘を守ってくれたのだと感じました。
この神社に入ってご神体のそばにいてそんな気がしていたのです。
「あのお兄ちゃん、どうして体が真っ黒でお目々がないの?」と娘が言い出したのです。

そしてMを再び見てみると全身がどす黒いオーラのように包ままていました。
目もないのではなく、真っ黒な目だったのです。
そして此処にいるだけで気を失いそうになるくらいの憎悪、怨念、殺意などの波動が溢れ出ていました。


魔物。


兄が言った事を思い出しました。まさに魔物でした。
どうやったら人間だったものがこんな風になれるのか・・・。
自分は家族を守る指命感と目の前の存在に対する恐怖心で震えてあました。
続きます。
ごめんなさいあと少しですからどうか最後までお付き合い下さい。
前回は本当に申し訳ありませんでした。


皆さんのご意見どうもありがとうございます。
続きです。

自分たちとMはしばらく睨み合ったままでした。
おそらくMは自分たちに襲い掛かろうにも、ご神体が邪魔して入る事は出来ないのだろうと思いました。

自分は二人の盾になるように前に出て、AはEをしっかりと抱きしめていました。
そして朝になればMの力も弱まり、駆け付ける退魔士たちに今度こそ浄化される・・・。
Mはそれを解っているかの様に自分たちとご神体を凄い形相で睨みつけていました。
そして何かを口走り、真っ黒な目で自分とA、Eを交互に睨みながら消えていきました・・・。

朝日が昇っていたのです。
自分は終わった・・・と安堵しました。
Aは泣いていました。
Eは・・・・寝ていました。

しばらくして兄たちが駆け付けて来て改めて浄化を行う事になりました。
相手が相手なだけにかなり手こずってたみたいですが無事浄化が終わったと告げられました。
そして自分たちはご神体の部屋に呼ばれて今回の事、
そして前回の事件の発端と真相を語られる事になりました。

まずMですがあそこまで魔物化してしまうと、浄化や浄霊は不可能との事で
消し去るしかなかったと言われました。魂の消滅。
それは前世から続いてる魂をなかった事にされあの世にいく事はおろか、
生まれ変わる事も出来ない、本当の死。
これ程恐ろしい事はないと思いました。

そして前回の事件でMは変死だと聞かされてましたが、真相は自殺だったそうです。
クラスメイトの怪我もMの仕業だったと言われました。
あの悪霊たちをあの時操っていたのがMだった事も
始めから自分をAを標的に計画された肝試しだったらしいという事も告げられました。

Mを浄化した時に全て解ったと兄は言っていました。
Mは自分に些細な事から恨み(この時はまだ小さなものだったらしいです)始めたという事でした。
それからは何かと自分とMを比べて殆ど逆恨みに等しい恨みになっていき・・
腹いせに自分の彼女(A)を取ってやろうと思い、言い寄った事があると言う事でした。
これについてはAからも聞かされた事があります。

しかしAは全く振り向かず、次第にMはAに本気になっていったらしいのです。
でもAが全く振り向かない為、段々と憎しみに変わりやはり恨みの矛先を自分に向けたという事でした。

そんな時にあの神社の事件に自分が関わっている事を知ったMは
(おそらく大人たちが話ているのを偶然聞いたのだろうと言っていました)あの神社へ行き、
あの大木に「Tを呪い殺せ」と叫びながら藁人形に釘を打ち込んでいたと言うのです。

神社の悪霊たちはMを取り込もうとしたけど、あまりの怨念の凄まじさに逆に、
利用される形になってしまったと・・・・。
そしてMは自分自身が悪霊になって俺を取り殺し、Aを自分の元に引きずり込もうと
最悪の決断をしたのだそうです。

他のメンバーはただの生け贄程度にしか考えていなかったそうです。
最初はAも他の人もろとも殺そうと考えましたがお守りや兄の友人に邪魔されて
急遽自分を偽の電話で呼び出す事にしたそうです。

あ、重要な事を言ってませんでした。
肝試しが始まった時はMはすでに死んでいたそうです。
大木に打ち付けてある自分に見立てた藁人形を睨みつけている様に首を吊っていたとの事でした。
(だからあの時自分だけが見ない方がいいと言われたのでしょう)

悪霊を使役して自分たちを取り殺そうとしましたが、お守りがあった為に上手くいかず
悪霊を神社の外にでれる様にしたりして手を加えましたがあの時、
自分たちは見えてなかったけど兄の友人たちが必死で自分たちを守っていたと教えられました。

そしてお守りが身代わりになる様に弾けた為、その力で神社に押し戻されたという事なのです。
そして浄化の際には大木に身を隠して浄化されたと見せ掛けて怨みを募らせながら機会を伺っていた・・。
そこにEを見つけたMが再び行動を起こしたというのですが。
今度はかつて自分が利用しようとしたご神体に阻まれその憎悪に終止符を打たれたという事でした。

自分はなんて言っていいのか解りませんでした。
自覚なかったとはいえ自分が発端になっていた事を知りショックを隠し切れませんでした。

「そっか・・・だからMは消える間際に・・・」
他の二人はよく聞こえてなかったらしいのですが自分にはハッキリと聞こえていました。
「なんで・・・どうして・・いつもお前ばかり・・」

自分は泣いていました。
巻き込んだ人に対して、Mに対して、申し訳ない気持ちと自分に対しての怒りで泣きました。
「もう終わったんだよ?大丈夫、大丈夫だから」
Aも泣きながらそう言いました。

「パパ、ママ、どこか痛いの?さっきのお兄ちゃんになにかされたの?」
Eが心配そうに見つめていました。自分は二人を思い切り抱きしめて泣きました。
もうあの悪夢は終わった・・・・。そう思い自分は罪悪感と安堵感に包まれていました。

次で最後です。後は後日談的な物になりますがどうぞ最後までお付き合い下さい。


これで最後になります。
では続きです。

あの事件の後、自分たちは亡くなった人たちのお墓を回りました。
兄の友人たちのお墓で深い感謝の気持ちを伝え、毎年お参りにくると約束しました。
Mのお墓にも行きました。

本当は実家にもお線香をあげに行きたかっのですが、引っ越した後で行方が解らないとの事でした。

魂のないお墓・・。
自分はMになんと言えばいいのか解らず・・・
線香をあげて手を合わせて祈る事しかてきませんでした。

あのMに襲われて怪我をしたクラスメイトたちも今は皆元気にしているそうです。
(神社に入ってからの記憶は無いみたいですが)
近々同窓会でも開こうと通達が来ました。

あ、それから娘のEも今は小学校に上がり元気です。
あの後、どうも神様に触れられたEは特別らしくて退魔士の方たちが
「うちにお向かえ頂く事はできないでしょうか?」と頼み込んできました。
無論、丁重にお断りしましたが・・・。

Eの霊的防御力は凄まじい物になっているらしく、
並の悪霊とかは近づくことすら出来ないと言っていました。
(喜んでいいのやら・・・)Aは苦笑いしていましけど・・・・。

後、他の神社などに行った時に自分たちは守ってくれている存在がいっばいいると告げられました。
皆が守ってくれている・・・。
自分は彼等に感謝の気持ちを一生忘れないと思います。

最後にあの神社ですが今では昔の面影も無く、境内で子供たちが遊んでいたり、
たまに祭が開かれる等、大変賑わっています。
でも自分たちはあの事件を忘れません。
亡くなった人の為にもこれから神社に行く人の為にも
この話をなるべく正確に伝え、忘れられない様にする為に自分はこうして投稿を決意しました。


最後までお付き合い頂き有り難うございます。
皆様のご意見に凄く助けられました。
この前話は一応実話です。少しでも皆様の心に残って頂けたら嬉しく思います。
自分の体験はこの一連の事件のみですが、兄が仕事柄色々な体験をしていて自分にも話てくれています。

また機会がありましたらその話も投稿したいと思います。皆様の要望があればですけど・・・・。
それでは本当に有り難うございました。

http://blog.livedoor.jp/nwknews/archives/3749748.html

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