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怖い話を集めるブログ

怖い、不思議、謎な話をネット上から拾ってきます。

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仏壇の顔

俺は4歳になるまで、夜はバアちゃん家に預けられていた。
夜はバアちゃんと並んで寝るんだけど、その部屋に死んだジイちゃんの仏壇があったんだ。
で、夜中に目が覚めたりすると、たいてい金縛りになる。
その時、必ず仏壇の戸が少し開いてて、中から誰かがこっちを見てるんだ。
扉に手をかけて、白い顔を半分覗かせて。

最初は、ジイちゃんだと思っていた。
バアちゃんが仏壇に向かって「じいさん…」って呼び掛けるのを見てたから。
だけど、その顔、良く見ると子供みたいなんだ。
こっちを見ながら、うっすらと笑っている白い子供の顔。
そんなものを見ながら、俺は不思議とも思わずに、4歳までその部屋で寝ていたんだ。


69 :2/3:03/11/11 23:16
バアちゃんは俺が11歳の頃に死んだ。
良く覚えていないけれど、何かの病気だった。
半年ぐらい入院していて、見舞いに行くと割と元気に見えたのに、
急に具合が悪くなったかと思うと、2日くらいで死んでしまった。

それでも、自分の死期はうすうす感じ取っていたみたいで、
死ぬ間際には「やっと、じいさんのところへ逝けるねェ…」みたいなことを言って、周囲を困惑させていた。

バアちゃんは、具合が悪くなったと同時に昏睡状態に陥った。
親族は交代で病室に詰めていたんだけど、最後を看取ったのは俺の母親だった。
そのときの様子が、ちょっと変だったらしい。


70 :3/3:03/11/11 23:18
母親は、病室のベッドの横で本を読んでいたんだけど、
何となく呼ばれたような気がして、バアちゃんの方を見たそうだ。
すると、昏睡していたはずのバアちゃんが目を開けていた。
瞬きもせず、じっと天井の方を見つめている。
母親が声を掛けようとした時、バアちゃんの口が動いた。

「お前、じいさんを何処へやった」

実の子である母親が、今まで聞いた事もないような、低くドスの利いた声。
呆気にとられていた母親が我に帰ると、バアちゃんはもう目を閉じていて、
それから半時間程で、あの世へ旅立ったそうだ。

バアちゃんは、あの白い顔をずっと見ていたのかも知れない。
今思えば、そんな気がする。

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竹林で

うーん……。
さすがにネットに書き込むのはどうかと思ったんですが
ネタをみんな欲しがってるようなので。
オカ板新参者です。長いしおもしろくなくてもごめんね。


7 :6:2001/01/30(火) 20:41
小学校の頃の話です。

おいらが行ってた小学校の側に竹林があって、
「そこには怪しい人が出るから行っちゃ駄目です」って言われてたのね。
俺は結局行かずじまいやったんやけど、結構周りは行ってる人が多くて、
みんな「変な小屋があって浮浪者が住んでる」とか、「小屋があって扉がどうしても開かない」とか、
まあ要は「木造の古い小屋が一つぽつんとある」って、みんな共通して言ってました。


8 :6:2001/01/30(火) 20:42
何時の間にかその小屋に行ったという事実は、『勇気のある奴』のステータスみたいな感じになって、
悪ガキ連中はみんな行こうとしてた記憶があるっす。

んである日、Oって奴とUって奴が、二人で「行こう」って話になったらしいのね。
両方一応は友達だったんだけど。
まあ、行く奴はもうみんな行ってて、今更行くのは言わば遅れ馳せながらって感じやったんやけど。
放課後やったかなぁ?記憶あいまいでスマン。
とにかく、放課後二人して行ったらしいです。つーか行きました。


9 :6:2001/01/30(火) 20:42
小屋に向かった二人は、深い竹林の中を例の小屋捜して歩きます。
遠目には小さい竹林やったのに、ちょっと入ったらすごい暗かった記憶があります。
あれは不思議やった。

そんで二人、小屋は例のごとく発見したらしいです。
んで、すぐ入ってみようって話になったんやと。


10 :6:2001/01/30(火) 20:43
木造の扉を開けて中に入ったんですが、先に入ったUが『うわ、やべ!』って思ったらしいです。
中で人が首吊って死んでたんやと。
そんでどうしよとか思ってたら、突然後から入ってきたOがすごい声で叫び出したらしいです。
「お母さん!!」って。


11 :6:2001/01/30(火) 20:43
叫び続けるOを置いて、Uはダッシュで逃げたらしいです。
そん時俺は学校のグラウンドで、みんなとドッチボールか何かやってて、
そこへUがダッシュでやって来たんすよ。

グラウンド越しに見える竹林の方角から。
めっちゃでかい声で、「Oのおかんが死んでる!」って言いながら。
あん時は凍りました。


12 :6:2001/01/30(火) 20:43
その日はすごい騒ぎになったと思いますが、よく覚えてないっす。
とにかくOは、その日から学校来なくなって、
そんで結局、一度も顔出さないまま転校していきました。

問題はここから。


13 :6:2001/01/30(火) 20:44
ありがちな話っす。「あの小屋に幽霊が出る」って話になるんすよ。
その自殺以来本当に行く奴はめっきり減って、みんな行きもしないのにキャーキャー言ってました。
まあ俺もそうか…。

当時物知りの方だった俺は、首吊り死体がすさまじい状態になるって何かで知ってたので、
それを詳しくみんなに話してました。おもしろ半分に。
みんなまた、それを聞いて騒ぐわけですよ。「首吊り女の霊が出る」って。

そんである日、また別の友人Sに誘われたんすよ。
「お前、そんなに霊に詳しいんやったら、見に行かん?」て。
俺はビビリだったんで速攻断ったんですが、後で話を聞かせてもらう約束はしました。
Sは結構仲間内でも悪い方で、奴なら本当に行くと思ったので。
そんで何人かで、本当に放課後、例の小屋を見に行ったらしいです。


14 :6:2001/01/30(火) 20:50
次の日、学校に行った頃には、俺はもうそんな話すっかり忘れてたんですが、
Sがその日すんげー暗かったのね。いつも騒いでばかりの問題児が。
それで俺も昨日の事思い出して、「本当に行ったの?」って聞いたんすよ。

そしたら「うん」ってそれだけ。
いつもなら自分からがーって喋るはずのSがすごい大人しかったんで、
これはマジで出たか!?って思って、その日一日Sにべったりくっついて、根掘り葉掘り聞いてたんですよ。

昨日小屋で何があったかを。
今考えると嫌なガキだな(W


15 :6:2001/01/30(火) 20:51
ところが、何聞いても教えてくれない。
「何か見たの?」には「うん」って言うけど、「何を見たの?」は答えてくれない。
例えハッタリでも、すごい顔した女の幽霊見た、とか言うじゃないですか?

俺はもう、Sは本当に幽霊を見たんだって思って興奮して、
どんな幽霊か、どんな感じしたのかって、結局放課後までずっと聞いてました。
そしたら遂にSが、「誰にも言うなよ。そんで、あそこには絶対行くな」って言い出しまして。
そん時、俺がどんなに嬉しかったかはわかると思います。


16 :6:2001/01/30(火) 20:51
Sが言ったのは一言だけです。
「扉開けたら中に、すげー声で叫んでるOがいた」って。


17 :6:2001/01/30(火) 20:51
オチらしいオチはありません。
Sはその後、二度とその話はしてくれないし、俺もおもしろ半分で人に怖い話をする事は減りました。
小屋のあった竹林は潰されて、今は筆ペンを作る工場が建ってます。
転校していったOが、その後どうしてるかは誰も知らないし、
俺は一回だけ見せてもらったOの妹の顔を、時々思い出すだけです。


25 :25?:2001/06/30(土) 23:29
「竹林で」を投稿した者です。随分お久しぶり…です。
今回ちょっとマジでシャレにならない経験をしたので、あわせて投稿します。
誰か嘘だと突っ込んでくれ。


26 :25(1/7):2001/06/30(土) 23:30
先々週末。
お酒を随分飲んで帰る機会がありまして、
その日は普段と違う帰り道を、夜中べろんべろんに酔って一人で歩いて帰ったんですよ。
その道は僕が通っていた小学校の裏道にあたり、もうかなり長い間使った事が無かったんですよ。
川を挟んだ向こうには工場が建っていました。あの竹林の跡地に…。


27 :25(2/7):2001/06/30(土) 23:31
工場が目に入った瞬間、ちょっとぶるっと来ました。
何しろあの忌まわしい事件の顛末を、事もあろうに
2ちゃんねるに書き込んだという前科が自分にはあったので。
考えないようにしていたのですが、何の気まぐれか、
もう絶対通らないと決めていた道を通ってしまったんですよね。

もうすっかり暗くなって、工場の外灯の薄暗い光しか見えない。
そこで僕は見てしまったんですよ。あの竹林が潰されずに残っているのを…。
十数年前のあの事件以来、友人の忠告通り竹林には行かず、傍を通る事すら無かったんですよ。

それで、どうやら記憶が勝手にねじまげられていたようです。
竹林は無くなってなどいなかった…。
普通の状態なら速攻ダッシュで逃げてたんでしょうけど、何しろ酔ってましたから。
変な使命感もあったんでしょうなぁ、馬鹿だ。
向こう岸に渡れる古いコンクリートの橋があって、何を考えたか渡ってしまったんですよ。竹林に行くために。


29 :25(3/7):2001/06/30(土) 23:32
小学校の時みんなが肝試しに使っていた竹林。僕自身は初めて来ます。
あの事件の前にちょっと遠目に見た事があるくらいでした。
大人になった今、外から見ると随分小さく見えました。

竹林を囲むようにびっしりと緑色の壁が覆っているように見えていて、
近くまで寄って、それが周囲に配置されたフェンスに群生するシダのような物だとわかりました。
足はふらふらでしたが、僕はフェンスをさっくり乗り越え竹林の中に入りました。
何かに魅入られていたとしか思えないっす。

やたら草が茂っていて、中は真っ暗でした。
それでとりあえず、工場の外灯に向かって進みました。
するとすぐ傍に小屋がありました。外からはまったく見えないのに…。
さすがに足は止まりました。本当にあるとは。そしてまだ残っているとは。


30 :25(4/7):2001/06/30(土) 23:32
ここでOの母親が…。無意識のうちに手を合わせました。
そして止せばいいのに、小屋に入ろうと思ってしまったのですよ。
あの話を不特定手数の人に話した(書いた?)ので、最早まったくの部外者とは言えない。
すっきりするためにも、自分は中を確認する必要がある。
そう思って…多分。いや、酔っ払いはそこまで考えないですか。

扉は横引きの木戸で、鍵はかかってない(そもそも本当に小屋がボロい)のに妙に重かったです。
一気に引いて中を覗き込みました。


31 :25(5/7):2001/06/30(土) 23:33
小屋の中は真っ暗で、最初は何も見えない。
僕は小屋の中に入り、すぐに何かにつまずきました。
倒れこそしなかったものの、よろよろとそのまま奥深くにまで進んでしまいました。

あちこちで何か硬い物が足に当たります。
しばらく何も見えなかったんですが、目が慣れるに従って僕は…
小屋の中、そこかしこにびっしりと林立する、異常に大量の地蔵がある事に気がつきました。

地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵
地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵
地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵!!!

心臓が止まりそうになりました。
一瞬、地蔵が全部こちらを見ている!と思って、腰を抜かしそうになったのですが、
彼らの視線は、小屋の中の違う一点で結ばれていました。
何がある!?と思いそちらを見ましたが、その空間には何もありません。

ただ、その空間の上方。
少し目を向けると、そこに小屋を貫くようにまっすぐの長い梁が存在し、
それは人一人くらい簡単にぶら下げられそうなくらい太く、
僕はそこに『何があったのか』を容易に想像する事が出来て…!


32 :25(6/7):2001/06/30(土) 23:34
酔いと悪寒で吐き気が込み上げ、口元を抑える僕の耳にはっきりと、
「おかあさん?」という小さな声が聞こえました。
思わず振り向くと、小屋の入り口を入ってすぐの所に、紛れも無く当時と変わらぬ姿のOが!!
Oはまん丸の目を、キュッと音が聞こえそうなくらいはっきりと歪め、そして…理解できたのです。
Oが次の瞬間に叫び出そうとしているのが!


33 :25(7/7):2001/06/30(土) 23:35
竹林からどのように抜け出たかは、よく覚えていません。
気がついたら、吐きながらいつもの帰り道を全力で駆けていました。
それが二週間前?の事です。腕とか傷だらけっす。

だいぶ悩みましたが、多分勘違いか夢だろうと思ったので、
ここに投稿して、全部無しって事にする事にしました。
南無…もう忘れます。誰か理性的な突っ込みを下さい。

本当泣きそうでした、ここ最近…。じゃ。
ごめんなさい、本当ごめんなさい。

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母親の影

私が小6の時の夏休み、薄暗い明け方のこと。
私はその日眠れずにいて、テレビをボーッと眺めていた。
すると突然、外から笛の音が聞こえてきた。

こんな朝早くになんだろうと思い外を見ると、
白い着物を着たガリガリの髪の長い女が、家の前の道を歩いていた。
女はしばらくこっちを見ていたが、また道を歩きだした。

そして私がまたテレビに目をやったその瞬間、階段をトン…トン…と上ってくる音がした。
その時私の部屋は二階で、扉が少し開いていた。
私は不気味な気配にビビリ、布団に潜って布団の隙間から様子を見ていた。

しかし、しばらくしても何も来ないので、相当ビビって、隣にある母親の寝室に逃げ込んだ。
入ったその瞬間、私は呆然とした。
その部屋は真っ暗で、奥の方で首を吊って天井からぶら下がっている、母親の影が見えた。
私は何もできず、それをしばらく眺めていた。
すると耳の奥底で、「生きてて楽しい?」という女の声がした。

母は次の日、普通に起きて仕事に行ったし、今も生きてる。
でも、母はその日から1ヵ月くらいで、20キロも痩せるという異常な痩せ方をした。

今から十年ほど前の事です。

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後女

中1の夏でした。
私の祖母の一番上の兄、泰造さんが亡くなりました。
といっても、私は泰造さんとは殆ど面識がなかったのですが
夏休みということもあり、両親と共にお葬式に出掛ける事になり、
私はそのとき初めて泰造さんの屋敷を訪れたのでした。
そこは某県の山奥、大自然に囲まれた、まさしく田舎といった場所で、
屋敷と呼ぶにふさわしい、古いながらもとても大きな家構えでした。

敷地内には鶏小屋があり、たくさんの鶏が飼育されていました。
泰造さんの娘にあたるおばさんが、売りには出せない小さな卵を
私や親戚の子供達にくれたので、大人達が集まるまでの時間、
私は子供達と一緒にその卵を使って、おままごとなどをして過ごしました。

そのうちお葬式が始まり、私は足の痺れと眠気と闘いながら
あまり面識のない泰造さんの遺影を見つめていました。
そしてお葬式も滞りなく終わり、両親や親戚のおじさんおばさん達は
ビールや寿司を囲みながら、泰造さんの思い出話や子供たちの話、
世間話などで盛り上がり、私もおじさん達にビールを注いだりと愛想をふりまきながら、
やがて田舎の涼しく心地よい風を感じる夕暮れ時となっていました。
ふと尿意を感じた私は席を立ち、ひとり便所へと向かいました。

かなりの田舎ということもあり、便所は少し変わったつくりをしていました。
扉を開くと裸電球の下、まず男用の小便器があり、そこにまた扉があります。
それを開くといわゆる、ぼっとん便所が奥にあるのです。
ですが、電気は始めの個室の裸電球しかなく、私はふたつめの扉をあけたまま、
薄暗いぼっとん便所で用を足すことになりました。


101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 05:04:59.82 ID:XD9FtNcW0
田舎の夏の夕暮れの独特な雰囲気と、慣れない木造の便所で少し気味が悪かったのですが、
鼻歌を歌い、気を紛らわしながら用を足し、服を整えて振り返りました。

それはいました。

ひとつめの個室の裸電球の下、白い服を着て、真っ黒な長い髪を無造作に束ねた女のうしろ姿。
私は恐怖で体が痺れたようになり、厭な汗が体中から噴き出しているのを感じました。
どれぐらいの時間でしょう。長いような短いような。女の頭から目を離せずにいた私の耳に
「コォォーーーーー……」
という、かすれた音のような声のようなものが聞こえてきました。
それと同時に私は少しずつ視線を下へとおとしていきました。
私の目に飛び込んできたものは、異様に爪の長いおんなの手の甲…そして足の…指…?

こっちを向いてる……!!

うしろ姿だとおもっていた女は、まぎれもなく正面を向いていました。
髪をすべて前へ下ろし、あごのあたりでひとつに束ねていたのです。
女の顔は全く見えない…見えないけれど見える…見えない…。

「ひぃぃ…ひぃぃ…」私はガタガタ震えながら、泣いていました。
そして女はゆっくりと両手をあげ、髪を束ねている紐に手をかけようとしました…。
そのとき「ガタッ」と扉の開く音と同時に、父の姿が見えました。

グルッ

女が扉のほうへ振り返り、そこで私は気を失いました。


102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 05:06:10.92 ID:XD9FtNcW0
目を覚ますと、私は布団に寝かされていました。両親が心配そうに私の顔を覗き込んでいました。
「変な女がおったんよ!!怖かった…怖かった…。」
また泣きそうになる私を見て、二人はうんうんと頷いていました。父はあの女の姿を見てはいないようでした。

少し落ち着きを取り戻した私に、おばさんが一冊の古びた冊子を持ってきました。
それは亡くなった泰造さんの覚え書きのようなものでした。
そのうちの黄ばんだ1ページに墨で描かれていた絵は、私が便所で見た女そのものでした。
「うちのお父さんな、こんなおそろしいもん、よう見とったみたいなんよ。

この覚え書きはお父さんが死んでしもてから見つけたんやけど、なんやいつもえらい怯えとったんやわ。
それやのに全然気付いてあげれんかった…。」
そう言っておばさんは涙ぐんでいました。

その覚え書きを見せてもらうと、泰造さんはあの女のことを後女(うしろ女?)と呼んでいたようでした。
鶏の飼育についてや森での狩りなどの覚え書きの合間合間に、後女について記してありました。
今となってはあまり覚えていませんが、最後のページにはこう書いてあったと思います。

「後女の真の面、真の背、目にしたとき我は死すか」

私は後女が振り返ったあのとき、女の後頭部を見たような気もするし、見なかったような気もします。

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包丁を研ぐ臭い

母に聞いた話なので細部がうろ覚えだったりするかもしれない。
ただし作り話ではないと思う。母は冗談は好きだがこんな嘘をつく意味がない。
規制中なので細切れ投下スマン。しかも時間かかるし。


402: 2:2012/03/28(水) 23:44:24.13 ID:b1QqyHIw0
あれは6年前のことで自分は小4だった。妹は保育園の年中組で毎日4時に母が迎えにいく。
その日は真冬で、こちらの地方は雪はほとんど降らないが、かなり寒い日だった。

保育園は家から歩いて10分くらいと近いので、午前中だけパートをやってた母は
毎日歩いて迎えに行っていた。その日もいつもとかわらず、保母さんから妹をもらい受け、
住宅街から外れた田んぼの中の近道を妹の手を引いて歩いてきたということだ。


403: 3:2012/03/28(水) 23:45:34.57 ID:b1QqyHIw0
母の話では、その道すがら妹が変なことを言い続けていたらしい。
「ねえねえお母さん、暗い道があったらまっすぐ行くとどうなるの?」
「赤い車があって女の人が下を見てるの、すると男の人が出てきて運ぼうっていうの」
「女の人もこっちに来て暗い道をいっしょにに行こうっていう」
それで、道すがらの田んぼの中に農具を置いてある掘っ立て小屋があるのを見て、
「あそこに入ろう」と言って母の手を引っ張ってきかなかったらしい。


405: 4:2012/03/28(水) 23:48:40.54 ID:b1QqyHIw0
鍵はないだろうけど、他の家の小屋だし田んぼの土に足を踏み入れるのは嫌だったので、
母は無理に手を引いて家まで連れてきたという。
今は違うけど、当時は妹はおとなしくてほとんどしゃべらないような子だったので
それも変だと思ったそうだ。そんなこんなで、近いのにその日は家まで30分ほどかかってしまった。


406: 5:2012/03/28(水) 23:49:51.81 ID:b1QqyHIw0
それで家の玄関先まで来ると、妹は手を離して走り出し、どたどたと音をたてて
保育園のお道具を持ったまま二階へ駆け上がり、当時は俺と共用だった子供部屋へ入ったらしい。

普段はそんなことをする子ではないし、手を洗わせようと思って
妹の後を追いかけ二階へ上がったが、二部屋しかない二階にはどこを探しても妹の姿はなかったそうだ。
ただ自分たちの部屋に入ると、ちょうど砥石で包丁をといでいる時と似た臭いが強くしたという。


407: 6:2012/03/28(水) 23:51:11.28 ID:b1QqyHIw0
換気がてら窓を開けて屋根の上を見たりしているところで母の携帯が鳴り、保育園から
まだお迎えに来られていませんが遅くなるのですか、という問い合わせの電話だった。
母はあっけにとられて、さっき伺ったと思いますがといっても、
今日は一度もお見えになっていませんよ、と向こうも驚いた様子だった。

そのあたりで自分が学校からあがってっきて、母といっしょに保育園に行った。
道々、母にこの話を聞かせられたが自分にはちんぷんかんぷんだった。
保育園ではいつもの妹がべそをかいて待っていた。


408: 7:2012/03/28(水) 23:52:44.04 ID:b1QqyHIw0
それから一週間後、母が妹のベッドのシーツを取り替えようとして敷布団をあげたら、
ちょうど寝た状態の妹のあごがくるあたりのマットレスに、小さな赤黒い手の跡がついていたという。
母は思わず大声で叫んで、あわててぞうきんで拭き取ったが、
そのときに包丁をとぐ臭いがまたしたそうだ。だから自分はその手の跡も見ていない

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