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怖い話を集めるブログ

怖い、不思議、謎な話をネット上から拾ってきます。

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スーパーの横の赤いドラム缶

昔通ってた小学校の七不思議のひとつに、『○○スーパーの横の赤いドラム缶』っていうのがあった。
 学校からは二百メートルくらい離れているけど、なぜか小学校の七不思議の一つになってた。

 内容としては、
 ・○○スーパーの横にある赤いドラム缶は、もともと青かった。だけど血で赤くなった
 ・ドラム缶の上に水が赤い水が溜まる
 ・上に爺さんが座っているのを見たら、逃げないと捕まえられる
 というものだった。

 それでも隠された場所にあるわけでもなく、歩道に若干はみ出して置かれているので、
いつでも誰でも見ようと思えば見れる。特に気にはしていなかった。
 ところがある日、クラスメイトのAが、「たまってた」と言い出した。

「学校来るとき見たの、ドラム缶に水が溜まってた。赤い水が」
 雨水が溜まったんじゃないかなと思ったけど、今朝も昨日も雨は降っていない。
 そもそも学校行くときに通る道なので、ドラム缶なら私も見た。

「水なんて溜まってなかったよ」

「見間違いかなあ…」
 ちょうど水が溜まるところはさびていて、普通の水が溜まっていても赤っぽく見える。
 きっと見間違えたんだろうとなった。
 それでも放課後になればやはり気になってきて、Aと私で見に行くことにした。
 怖いね、本当に赤かったらどうしようね、なんて言いながら○○スーパー横についた。
 壁と壁の隙間から三分の一ほどは道にはみ出しているドラム缶はやっぱり赤い。

「水なんて溜まってないよ」
 ドラム缶の上に、水は溜まってない。サビが浮いた面が見えるだけ。
 なあんだ、というのと、よかった、というのが半々な気持ちだったけど、やっぱりどこかほっとした。


146: 本当にあった怖い名無し:2012/05/02(水) 02:14:16.24 ID:cR/+zz1y0
 何もないことはわかったけど、薄気味悪いというのがあって、さっさと帰ろうと背を向けた。
 数歩ほど歩いたあたりで、背後でAが突然「あーッ!」と大きな声をあげた。
 振り向くと、Aがドラム缶の方を向いたまま、じりじりとこちらへと後ずさりしている。

 どうしたの、と言いかけて私の動きが止まった。
 さっきまで確かに乾いていて、水など一滴もなかったドラム缶の面から、ぱたぱたと水滴が落ちている。

 そんなわけない、水は確かに無かったのに。
 恐る恐る近づいた。

「ひ…」
 壁と壁の隙間、間近に立たないと死角になるような狭い場所に、人がいた。
 ガリガリに痩せこけて、ボロ布を纏った老人。
 脚を左右に広げてしゃがみこんで、脚の間に手をだらりと下げている。
 枯れ木のように細い手首には、ざっくりと横に切ったような傷が無数にあり、
そこからびちゃびちゃとどす黒いものがこぼれていた。

「きゃあああ!」

「わああああああ!」
 咄嗟に悲鳴を上げて走り出した。
 ドラム缶の面から落ちていた水は、あの腕からこぼれた血だった。
 必死になって走りながら、追ってきてるんじゃないかと気が気じゃなくて、振り向いた。
 ぶしゃっぶしゃっと手首のあたりから血を噴きだし、
左右に腕をぶらぶらと振りながら老人が追いかけてくるのが見えた。

 明らかに異様な風体で、ましてや流血しながら走ってくる。
 それなのに、街中にいる人は誰も気付いてない。
 走って走って、体育の授業でもこんなに頑張ったことないと思うくらい走った。
 大通りに出たとたん、パパッとクラクションの音がして、目の前に車が止まった。
 退社中の母だった。
 真っ青になってるAと一緒に車に乗って、早く逃げて!と絶叫した。


147: 本当にあった怖い名無し:2012/05/02(水) 02:15:02.97 ID:cR/+zz1y0
 何の事だかわからない母は困っていたが、車を出してくれた。
 窓から見ると、あの老人はまだ追ってくる。ぶらぶらと両手を振り、血をまき散らしながら追ってくる。
 それでもさすがに車だと早く、あっという間に見えなくなった。
 ようやくほっとして、母にAを家まで送ってもらい、そのまま家に帰った。
 帰宅して、同居していた祖母に帰宅の挨拶をしに行った(親にそう躾られていた)。

「おばあちゃん、ただいま」

「おかえり」
 病気で目が見えない祖母だったが、挨拶をすると、必ず私の方を向いてくれる。
 怖いことがあったと祖母に話そうとすると、突然祖母が起き上った。
 足腰がかなり弱く、ほとんど車椅子じゃないと移動できない祖母が立ち上がった。

「○さん(母の名前)! 塩持ってきて!」
 言うなり祖母はよたよたしながら玄関に行き、母の持ってきた塩を掴んで玄関に撒いた。
 ついでに私の頭やら肩やらにも塩を振りかけた。
 何が起きてるかわからなかったが、ひとしきり塩をまいたあと、
祖母は手首につけていた数珠みたいなのをはずして私の手首につけさせた。

「これでいいだろう」
 そう言うと祖母は母に支えられてベッドに戻った。
 正直驚いたが、特に何もなく、夕飯になる頃、父が帰宅した。

「玄関先でなにかこぼしたか」
 と父が言うので見に行ったら、玄関の外に、赤茶けた染みが出来ていた。
 翌日からは少し遠回りをして学校に行くようになったので、あの老人を見ることはなくなった。
 私が二カ月後に転校してしまったため、彼女との交流はなくなったが、
Aがあの日からしょっちゅう貧血を起こしては倒れていたことは覚えている。

 これで終わり。長々と失礼しました。

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カーテンの向こう側・・・

前に住んでたマンションの時の話しなんだけど、俺は2階の角部屋に住んでた。
そこは3DKのマンションで、学生の俺には広すぎる状態ではあった。
でも、都内ではないから家賃は80000円。

バイトもしてたし、仕送りもあるし、5万くらいで1ルームに住むより全然いいわってことで、
そのマンションに住んでたんだけど、住んでから気付いた。(しかも3ヵ月後くらいにwwwww)
・・・道路挟んではす向かいが、セレモニーホールだって事に。
その時は、マジでうわぁ・・・って思った。

しかも、リビングに小さな小さな出窓がついてて、そこからセレモニーホールが丸見え。
だから、夜通し明かりがついてる時なんかは、あぁ、今ここに死体あるのか・・・とか、
何かちょっと怖い想像もしてしまったりしてた。

まぁ、一応カーテンつけてるし、別に害はないしってことで、
逆に、その小さな出窓を開けて外を眺めながらタバコを吸うってのが、
俺の日課みたいになってたんだよね。


285 :2/5:2007/07/26(木) 04:16:15 ID:huQLbI0n0
そんなある夜、いつもの様に部屋の電気を落として、出窓開けてタバコ吸ってたんだ。
そしたら、ふと視界の隅で何かが動いてるのを捉えた。
何の気なしにそっちを見ると、セレモニーホールの屋上を誰かが歩いてる・・・。

ちょうどその時、セレモニーホールは色の塗り替えをやってたから、
建物の横に足場もあったし、作業員かな?と思ったんだよね。
その時は、不思議と怖いとかはまったく思わなかった。

でも、夜中も3時近いのに塗り替えやらないよな・・・と思って、
メガネを取ってきてもう一度よく見てみた。
その瞬間、めちゃめちゃ怖くなった。

屋上を歩いてると思ったのはまず間違いで、
どう考えても屋上のフェンスを乗り越えて、フェンスの外を歩いてるんだ・・・。
そこにどれ程のスペースがあるか知らないけど、普通の精神のヤツだったらそんなとこ歩くわけない。
次に、それはワンピースというか、白衣というか・・・何か青白っぽいスカートの様な服を着た女だった。
俺はマジでその瞬間、こいつ精神病患者で自殺する気だ!!って本気で思った。


286 :3/5:2007/07/26(木) 04:16:53 ID:huQLbI0n0
その女は、両手を上に上げたり横に広げたりしながら、
その屋上のスペースを右へ左へ行ったり来たりしてた。
横にスペースなんてないんだろうから、この時点でおかしかったんだろうけど、全然気付かなかった。
俺は通報しなきゃ…って考えはまったく浮かばずに、何故かその光景に見入っちゃったんだよね。
ボケーっと・・・

そして、タバコの2本目を付けて、もう一度そっちを見た時に女が止まってて、
明らかにこっちを見てるのに気付いた。
げぇっ!バレた最悪・・・って思うと同時くらいに、
女が両手を前へならえの感じで、俺の方にゆっくり下から上へ上げるように突き出して、
地面と平行に上がりきるくらいのところで、前のめりに倒れて行った。
マジで声も出なかった。何か超ゆっくり女が倒れていくのが見えてた。


287 :4/5:2007/07/26(木) 04:19:35 ID:huQLbI0n0
…と思ったのもつかの間、
女がこっちに向かって両手を伸ばしたまま、大きな口を開けてぶわ~って飛んで来た。
この時の俺のとっさの行動は、今思っても奇跡。
すごい速さで出窓ガラスを閉めて、カーテンを引いた。

んで、後からカーテンの上からカギをかけた。
その行動が終わって、2秒後くらいだったと思う。
息をつく間もなく、その窓がドンドンドン!!!!!!!って三回叩かれた。

しかも、音の大きさや激しさからするに両手で。
マジで半分くらい腰を抜かしながら、手探りでリモコンスイッチで電気つけて、
神経ピリピリさせながらしばらく震えてた。
絶対にあの女入ってくる!って思って。

でも結局、10分経っても20分経っても何もなくて、
気分的に落ち着いてきたから、今のは何だった??って思いだして、
もう一度見てみようかな…って事になった。

それで、何もなければ何か安心して眠れるって思ったんだよね。
でも、カーテンを開けちゃうのは怖かったら、
代わりにカーテンの隙間を片側押さえつつ、ほんのちょっとだけ親指分くらい開いてみた。
そしたら、そこに窓に思い切りギューッってされて、白くなってる指の一部が見えた・・・。


288 :5/5:2007/07/26(木) 04:20:29 ID:huQLbI0n0
後はもう、そのまま一睡もしないで朝を迎えたよ。
次の朝は思い切ってその窓を開けたけど、別に窓に何か手形が残ってるとかはなかった。

でも、俺はその時以来、一年以上、夜にそのカーテンは開けなかったし、
出掛ける時も、そのカーテンとリビングのメインのカーテンだけは閉めて出掛ける様になった。
夜に帰った時に、そいつが張り付いてたら怖かったから。

結局、その後は家では一度もそういう事に出くわした事はなかったけど、
あの時のあの女が何なのか、何の目的で窓にべばりついていたのかは永遠の謎・・・だろうね。

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不審な女性

別所でも話した記憶あるからもしかしたら聞いたことある人もいるかもしれないけど

今から3~4年前の話。
マンション住まいの友達の家に遊びに行ったとき、ちょうど時間は夕方5時くらい
友達はマンションの5階に住んでいるので、さすがに階段は面倒なのでエレベーターを使う事に。
しかしエレベーターのドアが開いた瞬間「ウッ」と思い立ち止まった。
喪服姿の小太りした女性が入口側に背を向けて入口をふさぐように立っていた

幽霊というよりは頭おかしい人が乗ってるのかと思い、さすがに「ちょっとどいてくれませんか」
と話しかけるのも怖いので立ち尽くしていたらそのまま扉が閉じた
見なかったことにして階段で5階まで行くことに。

3階くらいまで登ったところでエレベーターを見てみると、ちょうど5階までエレベーターが上がっていた
5階の人がエレベーターを使おうとしたらしい、ちょうど4階と5階の間の階段で
階段を下りてくる女性とすれ違ったので
「エレベーター使おうとしました?中に変な人乗ってませんでした?」と聞いてみた
おばさん「ええ、乗ってたわ、不気味でエレベーター乗れなかったわよ、本当迷惑よねー・・・」と軽く話した。
全く気味悪い人もいたもんだと思い友達の家へ。


259: 本当にあった怖い名無し:2012/04/17(火) 13:53:37.01 ID:zwnnu89u0
さっそく友達にもエレベーターの中にいた女性の話をした
友達「マジかよ?迷惑な奴もいるもんだな、きみわりいなー、
まだいるのかな?夕飯食いに行くついでに確認してみるか」
となり、まあ友達の家で20~30分くらいしゃべってたから、さすがにもういないかなーとは思っていた。

そして友達と一緒にエレベーターのドアを開いたら、いる。まだいる
「・・・・・・」沈黙数秒、(エレベーターのドアが閉じる)
友達「あいつか・・・」
俺「ああ・・・・」
友達「なんかこええな、階段下りて行こうぜ」

まあ階段降りながら「あいついったいなんなんだよ」とか
「ただ人を脅かそうとしてるんじゃないか?」とか話しながら1階へ
俺「マンション管理人に言ったほうがいいんじゃねえか?連絡とれる?」
友達「さすがに今は無理だなー、帰ったら後で連絡するわ」とか話してたらエレベーターが今度は降りてくる。

3階か2階の人が押したのかな?と思ってたが。1階まで下りてきた
友達「おい・・まさかあいつ降りるのか?」と聞いてきた
俺は何も答えられないままエレベーターのほうに目をやっていた


260: 本当にあった怖い名無し:2012/04/17(火) 13:54:31.64 ID:zwnnu89u0
ドアが開く

今度はその女性は正面を向いていた、しかし顔を見た瞬間背筋が凍りついた。
その女性が不気味な能面をつけていたからだ。
能面をつけた女性はこっちに目をくれる事もなく
(もしかしたら能面越しに目はこっちを見ていたかもしれないが)

そのままゆっくりと歩き去って行った。
俺「明らかに不審者だよな・・・、警察に通報したほうがいいんかなあ?」
友達「いや・・・何かされたわけじゃないしな、他の住民が
もう言ったかもしれないけど後でマンションの管理人に言っておくよ」

その後友達は管理人に報告したらしいが、その後その女性はあらわれていないらしい。
幽霊ではなく多分人を脅かそうと思ってる悪戯の犯行なんだろうけど、
本気でこういうのはやめてほしいと思った。

ちなみにその能面かぶった女性が出没したのはS県K市のイエローハット付近のマンションだ

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深夜の訪問者

6年程前古くて小さなアパートで一人暮らしてた時の出来事
入居して半年ぐらいの頃かな?深夜にピンポン鳴って
その音で音が覚めたけど面倒臭かったし訪ねてくるような
知り合いもいなかったしどうせイタズラだろうと無視した

その後も何度かあって頭に来たからドア越しにうるせーって怒鳴ったんだ
そしたらしばらく来なくなって安心してたんだけど
忘れた頃にまた来たんだよ

今度はピンポンじゃなくてドアノブガチャガチャ
また怒鳴ったけど次の日もその次の日もやられたんで
警察に相談しようかと思ったけどある事を思いついた

寝る前にドアノブに瞬間接着剤を塗ってそいつの手がくっついて
身動き取れなくしてから警察呼ぼうと
これなら確実に捕まえられると思って実行した

その日はなんかwktkしてて深夜まで寝ないでそいつが来るのを待ってた
深夜4時頃かな?忍び足だけど確かに誰かが玄関に近づいてくる気配を感じて
おっ来たなwwwwって笑いをこらえてたら『ガチャガチャッ』

普段ならガチャガチャは2回くらいで去っていくんだけどその時は何度もガチャガチャしてるから
焦ってるwwwって嬉しくなってドア越しに
「バーカ!今から警察呼ぶからおとなしく待ってろやwww」って言ったら
ガチャガチャが止まって静かになった

観念したんだなと思って110番で事情話したら来てくれるとの事
10分位して警察が来たんだけど何やら様子がおかしい
ピンポン鳴って警察なので開けてくださいって言われたから
犯人はどんな気持ち悪い奴なのかとwktkしてドア開けたら

警察しかいない
えっ?って思ってパニクって犯人が警察?とかオカルト的な物だったのかとか考えたんだけど違った
警察に促されて外のドアノブ見てみると



犯人の剥がれた皮膚が真っ赤に生々しく残ってた



怖くなってそこは引っ越したけど
未だにそいつは捕まってないらしい


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家に憑くもの

紀尾井町から四ッ谷に抜ける途中に、その館はあった。
もとは大名家の屋敷跡で、明治以降「華族の屋敷」だったという由緒正しい館であり、
近年は某企業の外国からの来賓を接待する迎賓館として使用されていた。
何といっても場所がいい。『ホテルN』の正面玄関前に位置し周囲は古い教会、
日本の政治を決定するといわれる料亭などに隣接している。

屋敷は素晴らしい和洋折衷建築の建物
(映画でいうと『犬神家の一族』の建物を一部、洋館に作り変えた様な建物)であった。
しかし、かなりの老朽化が進み、さらにその場所に記念ホールを建てる計画も持ち上がり、
今回取り壊される事になったのであった。

しかし、その取り壊しの調査段階で、この屋敷が当初思われていたよりずっと古く、
文化価値の計り知れない建物である事がわかった。
加えて、現在では幾ら予算を注ぎ込もうと、この建物と同じものは造りようがないということも…。
なにせ20メートルの渡り廊下ひとつ取っても、継目の無い一枚板で造られている程なのである。
もし、今同じものを造ろうとすれば、天然記念物の屋久杉を切らねばならない。
…そんな事はできる訳がない。

屋台骨の組み合せにしても、とうに忘れられた技術が
ふんだんに使われており、今の宮大工ではほとんど解らない。
あれやこれやで、これは壊してしまうには惜しいので、
渋谷にある社の土地に手を加え、移築しようという事になった。
リニューアルして再建築し、社長の公邸を兼ね迎賓館として使うのだ。

…そこで一昨年初冬、私の会社にこの建物の24時間の完全警備が委託された。
 先にも書いたようにこの建物は『ホテルN』の真正面である。
各国の要人が泊まるのだから、払われる注意は並大抵のものではなかった。
正面の空き家は狙撃手のいい隠れ家である。

事実、アメリカの大統領が来日した時など、ホテル側に面した窓がわずか
15センチ開いただけで警察と『ホテルN』から確認の電話がかかってきた程である。
それにこれから寒くなる季節柄、木造の家は火災がこわかった。
木材の資産価値だけで推定十数億、しかも廊下の一枚板のように再現不可能な材料もある。
警備会社の使命は重かった。


369: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/21(土) 20:38:15.72 ID:ZYF74fBw0
…ところが。
警備を命じられた者たちが、次々と会社を辞めてしまうのだ。実際3日と持たない。
理由を聞いてもはっきりと言わない。
ただ、『この仕事は続けられないので辞めます。』と言うのだ。

はっきり言って警備会社は人の出入りの激しい職種である。支店間の移動もまた激しい。
ほんの一週間、海外旅行に行って戻って来ると、おみやげを頼んだ人ばかりか、
部下から上司から総入替えしており、知った顔が一つもなかった等という笑えない話もある。
それはともかく、 実際、3日ともたないというのは異常な話だ。

しかも誰も理由を言わないとは。
…だが私にはピンと来くる事があった。
それは私自身のある経験から来るものだった。
私は立場上、警備に入る前、問題の建物を視察・打ち合せをした。
先方の会社の人に連れられて、全ての部屋をのぞくのに約40分以上かかったのを覚えている。

建物は明治時代の屋敷を核に増築に増築を重ね、複雑怪奇な構造になっていた。
本来ならあるはずのないところに小部屋があり、迷路じみた回廊が続き、
段差のある棟を繋げるため小さな階段がそこここにある。
ちゃんとわかっている人でないと到底住み得ないような…
俗にいうなら幽霊の棲みつきやすい間取りの屋敷だった。

私自身は霊感がある人間ではない。人のオーラが見えるでも、背後霊が見えるでもない。
しかし、そんな私でもあそこでは誰かに見られている、そんな異様な感じが常にしたのだった。
異様な視線を感じるのは屋敷自体ではなく、屋敷の奥にある昭和初期に建てられたという土蔵の前。…
そして『ホテルN』とは反対の角にある従業員宿舎の中だった。

入った瞬間気分が悪くなった。
空気が悪い、とでも表現したらいいのか。
何処からか感じる視線に不快感を感じ、脂汗が浮かんでくる。
何がどうとは言えなかったが、『ここはよくないな。』と思ったものだ。

身に覚えのある私は、誰も何も言わなくてもだいたいの事情を推察した。
推測が正しければこの先何人派遣しても同じことである。とすれば方法は一つしかなかった。
強力な霊感を持ち、なおかつ幽霊など非科学的なものは信じない、
という信念を持つ男をこの屋敷に送りこんだのである。


370: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/21(土) 20:39:50.13 ID:ZYF74fBw0
島谷警備士。
私は彼に何も話さなかった。
彼にとってはこの仕事も、たくさんある普通の警備の一つに過ぎなかったはずである。
- 結果…。数日たっても、彼は何の異常も訴えてこなかった -

「…どうなっているものか。」
折りしも師走…。みぞれまじりの風が冷たい日であった。
屋敷はすでに解体の準備を終わり、業者の人たちは引きあげていた。
そんな屋敷に、ひとり警備に残っている島谷氏は、
電気ストーブしか無い部屋でこの寒い中がんばっているはずである。

…しかし電気ストーブではそんなに部屋も体も暖まらないものだ。
私は現状視察を兼ね、石油ファンヒーターを差し入れに彼を訪れた。
「やあ、調子はどうだい。」
「あ、課長。大丈夫ですよ。こちらは何も異常ありません。」
「そ…そう…。」
『大丈夫、何も異常はない』と言われてしまうと返す言葉がない。
私は彼の案内で人気の失せた屋敷内を巡回した。
「…いや、君には話さなかったんだが、君の前の人が何人も辞めてしまってね。
…何かあるんじゃないかって心配してたんだ。」
「へえー、何があったんでしょうね。」
「…なかった? 何か出るとか…見たとか…。」
「何も。そんなの気のせいですって。強いて言うなら、疲労のせいで変な夢を見るくらいですね。」
「…夢? どんな?」


371: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/21(土) 20:40:14.45 ID:ZYF74fBw0
彼は何気なく首をかしげた。思いだすのに数秒かかった。
「部屋で寝てるとですね。天井に女性が浮かんでるんです。白い着物を着た、きれいな人ですよ。」
「なあ。…それって、夢じゃ無いんじゃ…?」
「夢ですよ。 だって人間が空中に浮かんでるわけないじゃないですか。
髪だって下に垂れてこないで、僕と全く平行に浮かんでるんですよ。」
と、彼は笑う。 それで?とおそるおそる私は続きを促す。

「じっと見てたら、すうっと下がってきて僕の首を締めるっていうのか、
胸倉をつかんでバタバタするっていうのか、まあそんな内容の夢です。」
「…それ、出てるってば…」
「かなり、すごい夢でしょう。」
「……。」

私たちはいつしか広間奥の階段前に来ていた。 ここもただならぬ気配が、
いつも誰かが見ているという気配が常に満ちている。
「…おかしいな。今誰かいるような気配がしたぞ。」
「課長、怖がりですね。 気のせいですよ。 僕もここに来ると時々カン違いするんです。」
「どんな。」
「さっきの夢に出てきた女性がね、そこに立ってるような気がして。
疲れてるんでしょうねぇ…。 不思議なことにいつもここなんですけどね。」
「…それ、いつも?」
「いつもって訳では…。 そうそう…いつも夜中だ。 3時頃かなあ。一番疲れてる時間ですよ。」
「……。」


372: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/21(土) 20:40:38.63 ID:ZYF74fBw0
一周した私たちは警備のための部屋に戻った。
「…じゃあ、良ければ引き続き年末年始の警備の方もよろしく。」
「大丈夫! まかせてください。」
 その私たちの頭上を、何かがゆっくりと歩いていった。

- ミシッ…。ミシッ…。ミシッ…。 -

足音は部屋の天井を対角線に横切っていった。 その歩幅70センチほどか…。
私はつぶやいた。
「…こんな年末なのにまだ宮大工さん働いてるのか。 大変だよなあ。」
「あはははっ。 課長、もう年末ですよ。 私たちしかいる訳無いじゃないですか。」
「え! だって今誰か上を…。」
「ネズミじゃないですか?」
「だって、ミシッ…ミシッ…って人間位の歩幅で…。」
「古い建物だからよくきしむんです。 気のせいですよ。 よくあることなんです。
だって課長、第一この上は2階がないんですよ。」
私は思わず沈黙した。

そう、建物のこの箇所は上がないはずだ。
「じゃ…じゃあファンヒーターを置いてくから。寒いけどがんばってくれよ。多分、また来るからさぁ。」
本当に寒い日だった。誰もいない建物の中を寒風が吹き抜けていく。
建物の中を…中を…?…………………………!!
玄関にでた私はふと、つぶやいた。
「…外の方があったかい。」
外は叩きつける様にみぞれが降っていた。なのに、建物の中よりずっと暖かく感じるのだ。

だいたいどうして建物の中から外に向かって風が吹くのか!
「…そうなんですよねえ。不思議なんです…。
しかも、僕のいる部屋が一番寒いんですよ。石油ファンヒーターたいても無駄かも…。」
彼は首をひねり続けた。
そして、その後も彼は不満一つもらすことなく、警備の任につき続けたのである。


373: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/21(土) 20:41:20.68 ID:ZYF74fBw0
そして季節はいつしか夏になっていた。
移築すべき建物は全て解体され、渋谷の方の移築先に移送されていた。
重要な資材もなくなり、警備は昼間の工事中のみに限定され、島谷警備士も他の現場へと移っていった。

残るは不要な部分の取り壊しのみである。その中に、例の古い土蔵も含まれていた。
その日は、朝早くから解体業者が敷地に入り、わいわいと騒ぎたてていた。
最初に土蔵の扉を開けたのは、出稼ぎに来ていた中年のイラン人だった。
「…?!」
彼は暗い土蔵の中に、白い着物を来た女性を見た。
そしてその周囲にうずくまり、こちらをジッと見る十数人の子供たちを…。
女性は立ちあがり、ものすごい剣幕でイラン人に指をつきつけまくしたてた。

「…ア・ア、チョット待ッテ。」
彼は、あまり日本語がよく話す事ができなかった。加えて、相手はまくしたてる様な早口である。
彼女が何を言っているのか、彼には全くわからなかった。
「チョット待ッテネ。監督サン呼ンデ来ルカラ。」
扉を閉め、くるっと振り返ったところに監督は立っていた。
もう建物がなくなった見通しのいいサラ地だ。

どこに誰がいたって見える距離である。
「監督サン、中ニ女ノ人イテ、何カ言ッテルヨ、聞イテアゲテ。」
「女の人?」
監督は首をかしげた。なぜなら彼はそれまでのいきさつを全く知らなかった。
『女性がいるなんて変な事を言うな。』と思いながら、小走りで彼の側に向かうと、
一緒に土蔵の扉を開けた。

土蔵の中には案の定、誰もいなかった。
「本当イタヨ。白イ服キタ女ノ人ダッタヨ。芸者サンミタイナ服ダッタヨ。
アト子供タチ、イッパイ、イッパイ…。」
監督は現実家だったが、さすがにこの話にはくるものを感じた。
全作業員を集め今の話をただしたところ、同じように「白い着物を着た女性を見た」
と言う者が、十数人も出てしまったのである。
それからが大騒ぎだった。
神社から神主が呼ばれ、入念な御払いが行われた。


374: ラスト:2012/04/21(土) 20:42:07.75 ID:ZYF74fBw0
2日後、あらためて土蔵を解体したところガレキの下から、
防空壕なのか座敷牢なのか解らない謎の地下空間が出てきてしまったのである。
…また大騒ぎになった。
その空間は、屋敷の膨大な記録に、一字も記載がなかったのである。
いつ、何のために造られたのか全くわからない。さらにそれだけでは済まなかった。

その数日後、屋敷の外塀が、十数メートルにわたっていきなり道路側に倒れたのである。
厚さ30センチ、本来なら地震でも倒れるはずのない塀である(関東大震災をも乗り切った塀である)。
幸い、すんでのところで死人こそ出なかったものの、路上の自転車、バイクはペッチャンコ。
あまりの事に翌日から作業員が出て来なくなる始末だった。再び御払いが行われた。
有難いことに、その後は何事も起こることなく、無事に建物もすべて解体され、
紀尾井町における我が社の仕事は終わった。

それから1年後。
会社の人間も一通り入れ替り、屋敷での怪異を覚えているのは今や私一人となっていた。
紀尾井町での出来事も、日々の業務に追われ忘れかけていた、
そんな私の耳に、警備現場の人間との奇妙なやりとりが聞こえてきた。

最近入社した新人が、何気なくこんな事を話していた。
「…建物を移築するとかで、古い材木が積んであるんですが、
その資材置き場を夜間巡回していると、たまに、変な人が来るので困ってるんです。」
「移築? 渋谷?」
私の耳はそばだった。

「夜中に白い服着た女の人が歩き回ってるんです。近所の人なんですかねえ…。
注意しようと思ってそっちいくと、いなくなってしまって…。どこの人なんでしょう?。
こういう場合って、警察を呼んだ方が良いのでしょうか…?。」
「…その資材置き場って〇〇〇社の?。」
「そうです。社長の公邸建てる現場です。」
「…!」
そう…彼女は材木について渋谷に移っていたのだ!今も、今夜もさまよっているのか。


私はしばらく震えが止まらなかった。 

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