中学受験のために、小学校6年の夏休みの間だけ家庭教師がきてた。
女の人で当時は二十歳くらいかな。やたらと姿勢がよくて、なんか宝塚っぽい雰囲気。
教え方がやたら丁寧で、話し方も常に丁寧語。
「ここは昨日、教えてさしあげた箇所です。忘れてしまいましたか?」って、こんな調子。
で、この先生はいつもオレが問題を解いてる間は、
オレの勉強机の前で、オレに背中を向けて、椅子に座って本を読んでる。
オレが「出来ました」って言うと振り向いて答え合わせをするんだが、
でも、その動作がすごい気持ち悪い。
椅子に座ったまま、体は背中を向けたまま、顔だけ振り向くんだ。
ほとんど180度の角度で。
しかも、そのままの姿勢でオレの答えを見て、答えが間違ってたりすると、
「目が悪いのですか?そんなに悪いお目々なら縫ってしまいますよ?」って言う。
怖くて勉強どころじゃなかった。
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あの家庭教師のことで、かあちゃんに覚えてることないか聞いてみた。
かあちゃんはあの家庭教師の名前を覚えてたよ。K田さんだって。(下の名前は失念)
確か有名大学の学生さんで、とうちゃんの会社の同僚の娘さん。
ということで、とうちゃんにも聞いてみた。
同僚だったK田さんは、何年も前に転職したから連絡は取ってない。
でも名前は確かにK田さんで、娘さんに間違いない。
オレは知らなかったけど、とうちゃんもあの家庭教師とは何回か面識あるらしく、
ちょっと挨拶したくらいだけど覚えてたよ。
とうちゃん曰く、
「ご子息のお目々がとても大きくて、すべてを見られてしまいそう…」って言われたんだと。
言葉使いが独特で、内容も意味不明だったし、
それが家庭教師の初日だったから、すげえ印象的だったそうだ。
縫われなくてよかった……。今頃こわいわ。
[7回]
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