怖い、不思議、謎な話をネット上から拾ってきます。
白神山地は熊の湯温泉の主人の話
ある日の夕方、この熊の湯温泉の主人のもとに
「山菜採りが滑落遭難した」との一報が入った
主人が現場に駆けつけると、既に地元警察や
救助隊が駆けつけており、サーチライト点灯の準備をしていた
そしてその横で、まだ五十手前の男が泣きながら
「早く女房を助けて下さい」と懇願していたという
その地点は白神ラインの天狗峠と明石大橋の中間地点で、
ガードレール下は急峻な崖であった
生き残った夫の話によると、夫婦で山菜採りに来ていたが、
ふと目を離した隙に妻が悲鳴を上げていなくなったのだという
白神山地はまだ寒く、サーチライト点灯を待つ
救助隊員や警察官たちは焚き火にあたって暖を取っていた
その横で遭難者の夫が「火なんかに当たってないで早く妻を助けてくださいよ!」と
恨めしそうに懇願していた
やがてサーチライト点灯の用意が出来て、強い光が谷底に投射された。
少しずつ光の輪を横にずらしながら、遺体の捜索が始まった
やがて、「あっ」と誰かが叫び、サーチライトの光が止まった
(なんてこった、まず生きてはいまい)
主人は内心そう思ったという。ガードレール下はるか二百メートルほどの地点、
岩が大きく張り出した谷の途中に女性が倒れていた
救助隊員が拡声器で呼びかけたが、何の反応もなかったという
絶命している。主人だけでなく、救助隊の誰もがそう直感したそうだ
728:2/3:2013/01/20(日) 18:13:52.01 ID:XvDyKAbA0
しかし、発見地点は下手すれば二重遭難しかねない急峻な崖である。
主人と救助隊は谷底に降りる方法を相談し始めると、
遭難者の夫が半狂乱になりながら救助隊に詰め寄ってきた
「早く助けて下さい! 女房が呼んでるじゃないですか!」
もう少し待ってください、慌てると碌なことがない、
と救助隊員は必死になって男をなだめたが、男は聞く耳を持たない
早く助けてくれと、もう少し待ってくれの押し問答が続いた、その時だった。
男が呻くように言ったという
「あぁ……なんであんたたちには聞こえないんだ!
女房が呼んでるのが聞こえないのか!?」
その瞬間だった。男がバッと走りだしたかと思うと、
あろうことかガードレールを飛び越えてしまった
悲鳴が救助隊員を凍りつかせた。
男の体が岩に激突しながら落下する音が不気味に響いたという
慌てて救助隊員たちが崖下を見ると、サーチライトの輪の中に、さっきの男が倒れていた
不思議なことに、男の遺体は妻のすぐ側に倒れていて、
まるで『助けに来たぞ』と言っているように見えたという
「なんてこった……」
主人がそう呟いた時だった。一台の車が現場にやってきて、
三十代になるかならないかという男が駆け下りてきた
「うちの親が落ちたって聞いたんですが」
遭難者の息子だった。誰もが絶句し、
「今引き上げるところだから、下は見るな」と誰かが言った、次の瞬間だった
729:3/3:2013/01/20(日) 18:15:45.84 ID:XvDyKAbA0
「そんなこと言ったって、うちの親父とおふくろが谷底から呼んでるじゃないですか」
救助隊が絶句していると、息子がガードレールに駆け寄ろうとした
咄嗟に、それを警官の一人が取り押さえた
「止めろ止めろ止めろ! でないとコイツまで連れてかれるぞ!」
その警官がそう怒鳴った瞬間、
その場にいた警官が一斉に息子に跳びかかり、息子を取り押さえた
「何するんだ! 親父とおふくろが呼んでるのが聞こえないのか!?」
息子は半狂乱になってそう怒鳴るが、
そんな声など息子以外の誰にも聞こえていなかった
あまりにも暴れるので、結局、息子は警官に両脇を抱えられ、
パトカーの後部座席に連行された
まるで山岳救助の現場とは思えない、異様な光景であった
しかし息子は「親父とおふくろが呼んでる」と唸り続けるわ、
隙あらばパトカーの外に飛び出そうとするわで、ほとほと手を焼いた
しかし数時間後、両親の遺体が谷底から引き上げられた途端、
まるで憑き物が落ちたようにおとなしくなった
息子は両親の遺体に縋って号泣していたが、
先程までとあまりに違う息子の態度に、誰もが改めてゾッとしたという
山に呼ばれた人の話
これ怖いなぁ
緊迫感あるっていうか
なんか独特